「控除率」この言葉、聞いたことはありますか?競馬を愛する僕らにとって、この数字はめっちゃくちゃ大事です。
「馬券が当たっても、思ったより儲からないな…」「なぜか年間収支がジワジワとマイナスになる…」
もし、そんな風に感じているなら、原因は「控除率」を知らずに馬券を買っているからかもしれません。控除率を知らないのは、手数料がいくらか分からない怪しいATMでお金をおろすようなもの。馬券を買うたびに、知らず知らずのうちに損をしている可能性だってあります。
この記事では、競馬の「控除率」とは何か、馬券の配当が決まる仕組み、そして「じゃあ、どの馬券を買えば一番トクなの?」という、僕なりの戦略までを掘り下げます。
なぜ僕らは勝てないのか?控除率との出会い
正直、僕も昔は控除率なんてまったく気にしていませんでした。大事なのは「当たるか、当たらないか」。それだけ。特に3連単の魅力に取り憑かれていました。あの「万馬券的中!」という脳が焼けるような快感。それを味わいたくて、毎週のように無謀な穴馬券を買っていたんです。
でも、現実は厳しい。ある土曜日の午後、小雨が降る中山競馬場のパドック。僕は凍える手で赤ペンを握りしめ、「これだ!」と確信した馬の3連単の軸にしていました。結果は惨敗。自信のあった軸馬は馬群に沈み、手元のマークシートはただの紙切れに。月末に銀行口座を見て、いつもため息。「あんなに勉強してるのに、なぜ勝てないんだ…」
その時、本気で向き合ったのが、この「控除率」という仕組みでした。
「控除率」とは?競馬で勝つための絶対的ルール
まず、基本から。「控除率」と「還元率」。この2つは必ずセットで覚えてください。たとえば、あるG1レースの馬券売上が100億円だったとします。この100億円を、的中した人たちだけで山分け……できたら最高ですよね。でも、そうはいきません。
競馬を運営するJRAも、賞金や競馬場の維持費、スタッフの給料など、たくさんのお金が必要です。そこでまず、JRAが「手数料(テラ銭)」として一定割合を引きます。これが「控除率」です。
そして、手数料を引かれた「残りのお金」を、的中した馬券を持っていた人たちで山分けします。この「残りのお金」の割合が「還元率(ペイアウト率)」です。
控除率(胴元の取り分) + 還元率(僕らの取り分) = 100%
この関係が成り立ちます。もし控除率が25%なら、還元率は75%。僕らが賭けた100円のうち、25円はJRAの手数料となり、残りの75円が配当の原資になるわけです。
料理に例えると…パリミチュエル方式の仕組み
この仕組みを、ちょっと変わったレストランに例えてみましょう。競馬は「パリミチュエル方式」というルールを採用しています。これは、客(僕ら)が注文(馬券購入)した代金を、いったん全部レジ(プール)に入れます。そして、レストラン側(JRA)が、まずサービス料(控除率)をガッツリ引きます。
残った金額を、注文が当たった客(的中者)だけで山分けする、という仕組みです。
だから、人気のメニュー(1番人気の馬)を当てた人が多ければ、一人あたりの取り分(配当)は減る。逆に、誰も頼まないようなマイナーなメニュー(人気薄の馬)を当てた人が少なければ、一人でガッポリもらえる(高配当)。
ここで大事なのは、僕らが馬券を買った時点で、すでに控除率の分だけ胴元に支払っているという事実。馬券勝負は、つねにこの手数料分のマイナスからスタートしている。この現実から、すべての戦略は始まります。
JRAと地方競馬「馬券別」控除率を徹底比較!
「じゃあ、その控除率って何%なの?」ここが超重要です。なぜなら、控除率はどの馬券を買うかで変わるから。すべての馬券が同じ手数料じゃないんです。
まずは、僕らが一番お世話になるJRA(中央競馬)の控除率を見てみましょう。
JRA(中央競馬)の馬券別控除率
| 馬券の種類 | 控除率 | 還元率(僕らの取り分) |
| 単勝・複勝 | 20% | 80% |
| 枠連・馬連・ワイド | 22.5% | 77.5% |
| 馬単・3連複 | 25% | 75% |
| 3連単 | 27.5% | 72.5% |
| WIN5 | 30% | 70% |
この表を見て、どう感じますか?「当てやすい馬券(単勝・複勝)」は控除率が低く(僕らに有利)。「高配当が狙える夢馬券(3連単、WIN5)」は控除率がめっちゃ高い(僕らに不利)。JRAは「夢(高配当)を買うなら、手数料も多めにもらいますよ」というスタンスなわけです。
1万円勝負したとして、単勝なら2000円が手数料ですが、3連単なら2750円、WIN5なら3000円が手数料。この差は正直、デカいです。
地方競馬の控除率はどう?
じゃあ、平日に楽しむ地方競馬はどうなのか。実は、JRAと地方競馬では、控除率が微妙に違います。
単勝・複勝:これは、ほとんどの地方競馬場もJRAと同じ控除率20%(還元率80%)です。ここは本当にありがたい。
馬連(馬複)・ワイド:でも、注意したいのはここ。JRAは還元率77.5%(控除率22.5%)ですが、多くの地方競馬場では還元率75%(控除率25%)なんです。
たかが2.5%?いやいや、長い目で見たらこの差はボディブローのように効いてきます。
もちろん例外もあって、ホッカイドウ競馬の「ワイド」は控除率20%(JRAより有利!)だったり、高知競馬が「最終レースの3連単」だけ控除率を下げて(還元率を上げて)くれたり、競馬場ごとに独自の戦略をとっている場合もあります。
正直、馬連やワイドをメインに買うなら、JRAの方が少しだけ有利な土俵で戦える、というのは覚えておいて損はないです。
他のギャンブル(パチンコ・宝くじ)と競馬の控除率を比較
競馬の控除率(約20%〜30%)って、他のギャンブルと比べてどうなんでしょう。どうせ遊ぶなら、一番勝ちやすい(負けにくい)戦場がいいですよね。「どの戦場が一番マシか」を見てみましょう。
主要ギャンブルの控除率(還元率)目安
| ギャンブルの種類 | 控除率 (目安) | 還元率 (目安) |
| 宝くじ・スポーツくじ | 約50%〜55% | 約45%〜50% |
| オートレース | 約30% | 約70% |
| 競馬 (JRA) | 約20%〜30% | 約70%〜80% |
| 競輪・競艇 | 約25% | 約75% |
| パチンコ・パチスロ | 約15%〜20% | 約80%〜85% |
※パチンコ・パチスロは法律上ギャンブルではありませんが、ここでは比較対象としています。
これを見ると、宝くじがいかに「夢を買う」ものか分かりますよね。買った瞬間に、約半分が手数料として持っていかれる計算。これはもう、「夢への寄付」に近い感覚かもしれません。
それに比べれば、競馬ははるかにマシ。競輪や競艇とほぼ同じ水準です。
「あれ? パチンコ・パチスロの方が還元率高いじゃん」
そう思った人もいるはず。たしかに数字上はそうです。でも、競馬や競輪には、パチンコの「台選び」や「技術介入」とはまた違った、「予想」という最大の技術介入要素があります。
レース展開を読み、馬の状態を見抜き、過去のデータを分析する。この「予想の精度」で、控除率の壁を乗り越えられる可能性があるのが、競馬の面白いところです。
控除率を理解した上で、僕らが取るべき戦略
さて、ここが一番知りたいところですよね。控除率の仕組みは分かった。じゃあどうすれば勝てるのか?僕らは常に「控除率(約20%〜30%)」という重いハンデを背負って戦っているわけです。このハンデを乗り越えるには、戦略が必要です。戦略は、大きく分けて2つです。
戦略1:【単複・ワイド派】控除率の低さを活かす
これは「控除率が低い(有利な)土俵」で戦う戦略。手数料が一番安い「単勝・複勝(控除率20%)」や、JRAの「ワイド(控除率22.5%)」を主戦場にします。ただし、的中率だけを追うのはNG。大事なのは「妙味」。つまり、オッズ(配当)とのバランスです。
「この馬、こんなに人気がないの? 能力的には3倍でもいいくらいだ」
そう思える、オッズが8倍ついている馬の単勝・複勝。点数を徹底的に絞り、無駄な馬券(どうせ当たらないハズレ馬券)を極力買わない。これが、控除率の低い土俵を活かす戦い方です。
戦略2:【3連単・馬単派】控除率の高さを技術でカバーする
これは「控除率が高い(不利な)土俵」で戦う戦略。なぜ、あえて不利な土俵を選ぶのか?それはもちろん、「一撃の回収率(ハイリターン)」があるから。この戦略で勝つには、控除率27.5%(3連単)の壁を越えるだけの「圧倒的な予想技術」が必須です。1番人気から手広く総流し、みたいな買い方では、控除率の餌食になるだけ。
「この人気薄の馬が、今日の馬場なら絶対に絡む」
という、自分だけの根拠ある穴馬を見つけ出し、点数を絞って仕留める。不利な土俵だからこそ、当たった時のリターンは大きいのです。
競馬の控除率 Q&A
最後に、よくある質問に答えます。
Q. 控除率が低いJRAの単勝だけ買えば儲かりますか?
A. 儲けやすくはなりますが、必ず儲かるわけではありません。控除率20%は、あくまで「手数料が20%引かれる」という意味。たとえば、単勝1.5倍の馬の本当の勝率が60%だった場合、期待値は「1.5倍 × 60% = 90%」となり、長期的には10%損します。「過剰に人気になっていない、妙味のある馬」を見つける技術がなければ、単勝でも負け越します。
Q. JRAプレミアムやプラス10って控除率と関係ありますか?
A. めっちゃ関係あります。「JRAプレミアム」(特定のレースで還元率が5%アップ)や「JRAプラス10」(単勝・複勝などの払戻金が1.1倍未満にならないよう、JRAが身銭を切って1.1倍にしてくれる)は、実質的に控除率を下げてくれるサービスです。これこそ、僕らが見逃してはいけない、胴元が甘くしてくれている(手数料を安くしてくれている)レースです。
Q. 結局、どの馬券が一番おすすめですか?
A. 正直、その人の予想スタイルによります。
- 安定的にコツコツ当てたい、資金を減らしたくないなら→ 単勝・複勝・ワイド(JRA)
- 予想に自信があり、一撃で大きなリターンを狙いたいなら→ 3連単・馬単
僕個人としては、控除率と配当のバランスが良い馬連(JRA)や3連複を軸にしつつ、自信があるレースで単複も買う、というスタイルに落ち着いています。
まとめ
競馬の控除率。それは「僕らがレースに参加するために支払っている手数料」です。
- JRAは馬券種によって20%〜30%の幅があること。
- 地方競馬や他のギャンブル(宝くじ、パチンコ)とも違うこと。
- そして、僕らは馬券を買った時点で、この手数料分だけマイナスからスタートしていること。
この数字を知ることは、馬券で勝つための最低限のスタートラインに立つことです。控除率の壁を越えてプラス収支を目指すためには、結局のところ「精度の高い予想」と「無駄のない買い方」しかありません。控除率をしっかり理解したうえで、今週末も賢く競馬を楽しみましょう。






