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初心者向け追い切り解説・見方

競馬予想の勝率を上げる!追い切り、トレセン、外厩情報の見方・活用法を徹底解説

【競馬】追い切り見方完全ガイド|タイム・場所(トレセン外厩)で予想精度UP 初心者向け
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競馬予想をする上で、出走する競走馬たちが今、どのような状態にあるのか。それを知ることは、馬券的中の鍵を握ると言っても過言ではありません。数ある情報の中でも、レース直前に行われる「追い切り」は、馬の状態を映し出す鏡のようなもの。陣営がレースに向けてどのような最終調整をしてきたのか、その意図を読み解くことで、予想の精度は飛躍的に向上します。

追い切りとは、レース前の最終段階で行われる、より実戦に近い強度での調教のこと。競走馬の能力を最大限に引き出し、レースで最高のパフォーマンスを発揮させるための重要なプロセスです。単に速く走らせるだけでなく、馬の状態や目標とするレースに合わせて、その内容や強度が綿密に計画されます。

追い切りの種類|目的によって使い分けられる調教

追い切りと一口に言っても、その実施方法や強度によっていくつかの種類が存在します。それぞれの種類には明確な目的があり、どの追い切りが行われたかを知ることは、馬の状態や陣営の意図を推測する上で非常に重要です。

主な追い切りの種類とその目的は以下の通りです。

  • 単走(たんそう): 馬一頭だけで行われます。他馬を気にせず、馬自身の走りに集中させるのが狙い。リズムやバランスの確認、若馬や気性的に難しい馬の集中力向上によく用いられる手法です。
  • 併せ馬(あわせうま): 複数の馬(主に2頭、時には3頭)を並べて行われます。実戦形式に最も近い調教で、馬の闘争心に火をつけ、負荷をかけるのが目的。相手との駆け引きから、馬の反応や勝負根性を見ることができます。
  • 3頭併せ(さんとうあわせ): 3頭の馬で行う併せ馬です。より複雑な状況での馬の対応力や、多頭数での競馬を想定した調教と言えるでしょう。
  • 先導役(せんどうやく)を使った追い切り: 先にペースメーカーとなる馬を走らせ、後から本命馬が追いかける形で行われます。目標ができることで馬が集中しやすくなり、追い上げのタイミングやペース配分を体に覚えさせる効果が期待できます。

追い切りの目的|なぜレース前に負荷をかけるのか?

レースに向けて追い切りを行うのには、いくつかの明確な目的があります。これらを理解することで、「なぜこの馬はこの種類の追い切りを行ったのか」という背景が見えてきます。

追い切りの主な目的は以下の点にあります。

  • 心肺機能の向上: レースを走り切るために必要なスタミナや持久力を鍛えます。特に長い距離を走る馬にとっては欠かせない目的です。
  • 筋力強化: 走行に使う筋肉に負荷をかけ、パワーやスピードを高めます。レースのパフォーマンスに直結する重要な要素です。
  • 反応の確認: 騎手からの指示(手綱や脚による合図)に対する馬の反応を確認します。また、馬自身が「もっと速く走りたい」という前向きな気持ちを持っているかどうかもここで見極めます。
  • 状態の把握: レース本番に向けて、馬の肉体的・精神的な状態がどこまで仕上がっているのかを最終確認します。体調に問題はないか、気持ちが乗っているかなどを判断します。
  • 気分のリフレッシュ: 適度な運動は、馬の精神状態を良好に保つ効果もあります。トレセンの環境から一時的に解放され、リフレッシュさせる狙いもあります。

これらの追い切りの種類と目的を基本として理解すること。これが、次に解説する「タイムの見方」や、追い切りが行われる「場所(トレセンや外厩)」といった、より詳細な分析に進むための第一歩となるのです。

この記事の目次
    1. 追い切りの種類|目的によって使い分けられる調教
    2. 追い切りの目的|なぜレース前に負荷をかけるのか?
  1. タイムだけじゃ分からない!追い切り時計の正しい判断方法
    1. 追い切りタイムの種類とそれぞれの意味
    2. 時計の良し悪しを見抜く!タイムに影響する要素
    3. タイム評価のカギは「縦の比較」と「違和感」
  2. 競馬を支える東西の拠点|美浦と栗東トレーニングセンターの特徴
    1. 東の要衝:美浦トレーニングセンター
    2. 西の牙城:栗東トレーニングセンター
    3. 「西高東低」は過去の話?東西トレセンの今
  3. 現代競馬の鍵を握る「外厩」とは?役割と主要施設を解説
    1. 外厩の定義と多岐にわたる役割
    2. 外厩制度の歴史と注目度の上昇
    3. 主要な外厩施設とその特徴
    4. 【馬券に繋がるコツ】外厩情報を予想に活かす
  4. 在厩?外厩?馬券に直結する調整場所の違い
    1. レース直前の勝負服:トレセン(在厩)調整
    2. リフレッシュと育成の拠点:外厩調整
    3. 【馬券に繋がるコツ】「外厩帰り」を見逃すな!
    4. どちらが良い? 使い分けの意図を読み解く
  5. 追い切り動画で見極める!馬の状態を見抜く実践ポイント
    1. 画面越しに馬の状態を感じ取る!動きのチェックポイント
    2. タイムと動きの「違和感」こそが宝庫!
    3. 過去のデータと馬体重も忘れずに
  6. 追い切り評価で失敗しないための注意点
    1. タイム評価に潜む落とし穴
    2. 情報収集と冷静な判断に関する注意点
  7. まとめ|追い切り、トレセン、外厩情報を馬券に活かす秘訣
    1. 総合判断こそが馬券に繋がる唯一の秘訣
    2. 馬券的中の精度を上げる!具体的な着眼点
    3. 継続は力なり!学び続ける姿勢を

タイムだけじゃ分からない!追い切り時計の正しい判断方法

追い切り情報の中で、最も分かりやすい数字として目に飛び込んでくるのが「タイム」です。全体時計、ラスト1ハロンの「終い」、あるいは途中の「ラップタイム」。これらの数字は確かに馬のスピード能力やスタミナを示す重要な手がかりとなります。しかし、競馬予想において、追い切りタイムを単なる数字の羅列として捉えるのは非常に危険と言えます。

タイムの良し悪しを正しく判断するには、そこに影響を与える様々な要素を理解し、総合的に評価することが不可欠なのです。

追い切りタイムの種類とそれぞれの意味

追い切りで計測される主なタイムには、以下の種類があります。

  • 全体タイム: 追い切りを開始した地点から、指定された距離を走り終えるまでの合計タイムです。例えば、坂路コースで4ハロン(約800m)を追い切った場合、その800mの合計タイムがこれにあたります。馬の全体的なスピードやスタミナの目安となります。
  • 区間タイム(ラップタイム): 追い切り中の特定の区間(例えば1ハロンごと)で計測されるタイムです。これにより、スタートからゴールまでのペース配分や、特定の区間での加速力など、より詳細な分析が可能になります。
  • 終い(しまい)のタイム: ゴール手前の最後の区間(ラスト1ハロン、あるいはラスト2ハロンなど)のタイムを指します。レースにおける最後の直線での瞬発力や粘り強さ、つまり「決め手」に関わる能力を測る上で、非常に重要な指標となります。

これらのタイムは、馬の能力の一端を示しますが、数字だけを鵜呑みにしてはいけません。次に解説する様々な要因が、タイムの出方に大きく影響するからです。

時計の良し悪しを見抜く!タイムに影響する要素

同じ馬が同じコースで追い切りを行っても、日によってタイムは大きく変動することがあります。その主な要因を見ていきましょう。

  • 馬場状態: これはタイムに最も大きな影響を与える要素の一つです。
    • 良馬場: 水分が少なく、最も速いタイムが出やすい状態。
    • 稍重(ややおも)/重(おも)/不良(ふりょう): 水分量が増えるにつれて、馬場が深くなり、タイムは出にくくなります。特に不良馬場では、良馬場に比べて時計が数秒単位で遅くなることも珍しくありません。タイムを見る際は、その日の馬場状態がどうだったのか、必ず確認する必要があります。
    • 【注意】ポリトラック: ウッドチップやダートと異なり、ポリトラックコースは水分含有量が少なく、馬場状態の変化に強いという特性があります。そのため、重馬場や不良馬場でも比較的速いタイムが出やすく、「軽く走ったのに時計が出た」というケースも少なくありません。ポリトラックの時計を他のコースの時計と比較する際は、この特性を理解しておくことが重要です。
  • コースの種類: トレーニングセンターには様々な種類のコースがあります。
    • 坂路: 勾配があるため、平坦なコースよりもタイムが出にくい傾向にあります。心肺機能やパワーを鍛えるのに適しています。
    • ウッドチップ/ダート: 平坦な周回コースなどが主流で、比較的タイムが出やすい傾向にあります。馬への負担を考慮した調教に適しています。
    • : レース本番に近い感触で走らせる目的で使われますが、調教で頻繁に利用されるコースではありません。
  • 追い切りの強度: 騎手からの指示の強さもタイムに直結します。
    • 馬なり(馬也): 騎手がほとんどアクションを起こさず、馬の気の向くままに走らせる最も軽い強度。タイムは遅くなりますが、馬のリズムや集中力を確認できます。
    • 強め(強目): ある程度の負荷をかける強度。馬なりと一杯の中間程度で、レースを意識したペースで行われます。
    • 一杯(一杯): 騎手が手綱を最大限に動かし、文字通り馬を「一杯に」追う最も強い強度。最も速いタイムが出やすいですが、馬への負担も大きくなります。タイムが良い場合でも、これが「一杯」で出されたものなのか、「馬なり」で出されたものなのかで、馬の状態判断は大きく変わります。
  • 時計の出やすい時間帯: 早朝など、馬場が整地(ハロー掛け)された直後や、気温が低い時間帯は、馬場状態が良くタイムが出やすい傾向があります。

タイム評価のカギは「縦の比較」と「違和感」

タイムを評価する上で最も重要なのは、単にその日の好タイム馬を探す「横の比較」ではなく、その馬自身の「縦の比較」です。

  • 過去の追い切りとの比較: 同じ馬が過去に同じコース、似たような強度で行った追い切りタイムと比較します。過去の自己ベストを更新したのか? 好調だった前走時と比べてどうか? こうした比較から、現在の状態が上向いているのか、維持できているのか、あるいは下降気味なのかを判断します。ネット競馬などの情報サイトでは、過去の追い切り履歴が掲載されているので、必ずチェックしましょう。
  • 基準タイムとの比較: 各トレセンやコースには、おおよその基準タイムが存在します。その基準と比べて速いのか遅いのかを知ることも参考になりますが、あくまで目安です。馬それぞれの適性や追い切りの意図が異なるため、基準タイムより遅いからといって即座に状態が悪いと決めつけるべきではありません。
  • 【馬券に繋がるコツ】「違和感」に注目: 好調時のパターンと比較して、タイムや内容に「違和感」がないかを探るのが、追い切り分析の醍醐味です。例えば、普段は終いが甘くなる馬がラスト1ハロンで鋭い伸びを見せた、あるいはタイム自体は平凡でも、過去と比較して楽に、スムーズに走れているように見える、といったケースです。逆に、好走後にも関わらず、時計の出し方(馬なり→一杯など)やコースを変更してきた場合など、陣営が何かを試している、あるいは見えない問題を抱えている可能性も示唆されます。この「違和感」に気づくことが、人気薄の激走を見抜くヒントになることも少なくありません。そのためにも、日頃から多くの馬の追い切り映像を見て、「良い状態の走り」や「いつものパターン」を自分の中に蓄積しておくことが大切です。

このように、追い切りタイムは様々な要因によって変動し、その馬自身の過去と比較することで初めてその真価が見えてきます。そして、単なるタイムの数字だけでなく、次に解説する馬の「動き」や、追い切りが行われた「場所(トレセンと外厩)」といった情報と組み合わせることで、より深い洞察が可能になります。

競馬を支える東西の拠点|美浦と栗東トレーニングセンターの特徴

日本の競馬、特に中央競馬(JRA)のトレーニングを語る上で欠かせないのが、東西に存在する二つの巨大な拠点、「トレーニングセンター」、通称「トレセン」です。東の美浦トレーニングセンター(茨城県)と西の栗東トレーニングセンター(滋賀県)。この二つの施設が、日本の多くの競走馬たちを受け入れ、日々の調教を行い、レースへ送り出しています。

トレセンは単なる調教施設ではありません。厩舎、病院、装蹄所、そして働く人々の住居まで備えた、一つの小さな街のような機能を持っています。多くの馬、調教師、騎手、厩舎スタッフが集結し、チーム一丸となって競走馬を管理・育成している場所、それがトレセンなのです。

東の要衝:美浦トレーニングセンター

茨城県に位置する美浦トレセンは、主に東京、中山、新潟、福島といった関東圏の競馬場へ出走する馬たちが所属しています。広大な敷地には、様々な特性を持つコースが整備されています。

  • コース: 坂路コース、ウッドチップコース、ダートコース、芝コースに加え、広大な森林を利用した森林馬道があるのが特徴です。馬の心身のリフレッシュに役立つと言われます。
  • 坂路コース: かつては栗東に比べて勾配が緩やかと言われていましたが、近年、新坂路コースが完成し、高低差が大幅に拡大されました。これにより、栗東と同等か、それ以上の負荷をかけた調教が可能となり、美浦所属馬のパフォーマンス向上に大きく貢献しています。全長も栗東より長いコースが複数あります。
  • 調教傾向: 以前は持久力やスタミナを重視した調教を行う厩舎が多い傾向がありましたが、新坂路の完成や調教技術の進化により、現在はより多様なスタイルの調教が行われています。

西の牙城:栗東トレーニングセンター

滋賀県に位置する栗東トレセンは、京都、阪神、中京、小倉といった関西圏の競馬場へ出走する馬たちが主に所属しています。こちらも広大な敷地を誇り、多様なコースを備えています。

  • コース: 美浦と同様に、坂路コース、ウッドチップコース、ダートコース、芝コースがあります。敷地内に起伏が多いことも特徴です。
  • 坂路コース: 栗東の坂路コースは、美浦に比べて勾配が急であることが大きな特徴です。この急坂を駆け上がることで、馬の心肺機能や後肢のパワーを重点的に鍛えることができるとされています。
  • 調教傾向: 急勾配の坂路を活かした、瞬発力やパワーを重視した調教を行う厩舎が多い傾向がありました。特に短距離やダートを得意とする馬が栗東に多いと言われた時期もありますが、これもあくまで一般的な傾向です。

「西高東低」は過去の話?東西トレセンの今

競馬ファンの間でよく耳にする「西高東低」という言葉。これはかつて、関西馬(栗東所属馬)の方が関東馬(美浦所属馬)に比べて全体の成績が良い傾向にあったことから生まれたものです。この差は、栗東の急坂路による調教効果や、有力な馬や厩舎が栗東に集中していたことなどが要因と考えられていました。

しかし、近年、この傾向は大きく変わってきています。最大の要因の一つは、前述の美浦トレセンにおける新坂路コースの完成です。施設面でのハンディが小さくなったことで、美浦所属馬も栗東に引けを取らない質の高い調教を行うことができるようになりました。また、両トレセンにおける調教技術の向上や、厩舎ごとの戦略の多様化も、東西の差を縮める要因となっています。

【馬券に繋がるコツ】トレセンの特性を追い切り評価に活かす

追い切りタイムを見る際に、そのタイムがどちらのトレセンの、どのコースで出されたものなのかを理解することは非常に重要です。

  • 坂路タイム: 栗東の急坂路と美浦の坂路(特に新設前)では、同じタイムでも馬にかかる負荷が異なりました。栗東で速いタイムを出した馬はパワーや心肺機能が相当に鍛えられていると判断でき、美浦で速いタイムを出した馬はスピード能力が高いと判断できる、といった見方がかつては一般的でした。現在は美浦新坂路の影響でその差は縮まっていますが、それでもコースの特性を理解することは重要です。同じ馬の過去のタイムと比較する際も、どのコースで出されたタイムかを確認しましょう。
  • 輸送の影響: 関東馬が関西のレースに出走する場合、あるいはその逆の場合、長距離の輸送が発生します。輸送は馬にとって大きな負担となるため、輸送後に体調を崩したり、馬体重が大きく減ったりする馬もいます。トレセンから遠距離の競馬場へ出走する馬の追い切りや馬体重を見る際は、輸送の影響も考慮に入れる必要があるのです。

現在では、単に「関東馬だから」「関西馬だから」というだけでなく、それぞれのトレセンのコース特性、さらには次に解説する「外厩」での調整過程などを複合的に判断することが、より正確な状態把握に繋がります。東西間の差は縮まりつつありますが、それぞれのトレセンが持つ環境やそこで培われる調教スタイルへの理解は、追い切り情報を深く読み解くための土台となります。

現代競馬の鍵を握る「外厩」とは?役割と主要施設を解説

これまでは、中央競馬の競走馬たちが調教を行う主要な場所として、美浦と栗東のトレーニングセンター(トレセン)について解説してきました。しかし、現代の競馬予想において、トレセンと並ぶか、あるいはそれ以上に重要な情報源となっているのが、「外厩(がいきゅう)」と呼ばれる施設です。

かつて外厩は、レース後の競走馬を休ませるための「放牧地」というイメージが強いものでした。しかし時代は変わり、今や外厩は競走馬の育成・調整における重要な拠点へと進化を遂げています。

外厩の定義と多岐にわたる役割

外厩とは、文字通りJRAのトレーニングセンター以外にある民間の育成牧場やトレーニング施設全般を指します。トレセンとは異なる環境で、競走馬は様々な目的のために外厩を利用しています。

外厩の主な役割は以下の通りです。

  • 休養・リフレッシュ: レースを終えた馬の疲労回復や、心身のリフレッシュを目的とします。トレセンの緊張感から離れ、ゆったりとした環境で過ごさせることで、次走への活力を養います。
  • 基礎・育成調教: 若い馬が本格的にトレセンに入厩する前に、基礎的な体力や心肺機能を養うための調教を行います。早期デビューを目指す馬にとっては、外厩での育成が非常に重要なステップとなります。
  • トレセン入厩前の仕上げ: レースに出走するためには、原則としてレースの10日前(初出走馬は15日前)までにトレセンに入厩している必要があります(日本中央競馬会施行規程第91条)。外厩では、このトレセン入厩前に、ある程度レースに出走できる状態まで馬を仕上げる役割も担っています。これにより、トレセンでの滞在期間を短くすることが可能になります。
  • 馬房回転の役割: 調教師がトレセンで管理できる馬房数には限りがあります。外厩を活用することで、馬を一時的にトレセン外に出し、他の馬をトレセンに入れるといった効率的な馬房運用が可能になります。これは、2004年に導入された調教師の成績に応じた管理馬房数が増減する「メリット制」なども相まって、外厩利用を後押しする大きな要因となりました。
  • トレセンとは異なる環境での調教: 外厩の中には、トレセンのコースとは異なる特性(坂路の勾配、馬場の種類など)を持つ施設があります。これにより、トレセンだけでは難しい特定の調教を行ったり、馬の個性や課題に合わせて柔軟な調整を行ったりすることが可能になります。
  • 輸送の中継地点: 特に北海道で生産・育成された馬が本州の競馬場へ向かう際など、長距離輸送の負担を軽減するための中継地点として外厩が活用されることもあります。
  • 管理コストの削減: トレセンに比べて、外厩の方が管理コストが安い場合が多いという側面も、利用が進む理由の一つです。

このように、現代の外厩は単なる放牧地ではなく、競走馬のパフォーマンスを最大化するための多機能な施設へと変化しました。

外厩制度の歴史と注目度の上昇

外厩制度(当時は認定馬房制度などと呼ばれました)は、2003年にホッカイドウ競馬で初めて導入されました。その後、南関東公営競馬など地方競馬でも採用が進み、中央競馬においても外厩の利用は一般的になっていきました。

特に近年は、ノーザンファームが所有するノーザンファーム天栄(美浦近郊)やノーザンファームしがらき(栗東近郊)といった大規模かつ高機能な外厩が注目を集め、これらの施設で調整された馬が多くのG1レースを勝利するなど、その重要性は年々高まっています。外厩での調整過程が、レースの結果に直結すると認識されるようになったのです。

主要な外厩施設とその特徴

日本には数多くの外厩施設が存在しますが、中でも中央競馬において注目度が高い、主要な外厩をいくつかご紹介します。それぞれの外厩には異なる設備や特徴があり、どの外厩で調整されてきたかを知ることは、その馬がどのような目的で、どのような調教を受けてきたのかを推測するヒントになります。

外厩名場所主な特徴・傾向(一部抜粋)
ノーザンファーム天栄福島県(美浦近郊)勾配のきつい坂路、広い周回コース。美浦所属馬が多く利用し、G1馬を多数輩出。馬の状態を上げてトレセンに戻す「仕上げ」に定評。
ノーザンファームしがらき滋賀県(栗東近郊)直線坂路、周回コース。栗東所属馬が中心だが、美浦所属馬の関西遠征時利用も。こちらもG1馬を多数輩出しており、「仕上げ」能力が高い。
山元トレセン宮城県社台グループの外厩。急勾配の坂路、全天候型馬場。北海道と本州の「中継地点」としても活用される。
グリーンウッド・トレーニング滋賀県(栗東近郊)屋根付き坂路あり。芝レースや長距離で高い回収率を示す馬が多い傾向。柔軟な調整が可能。
吉澤ステーブルWEST滋賀県屋根付き坂路(ウッドチップ)、屋根付き周回(ダート)。様々な馬が利用。
吉澤ステーブルEAST茨城県(美浦近郊)周回コース、坂路(ポリトラック)。美浦近郊の外厩として利用される。
大山ヒルズ鳥取県ノースヒルズグループの外厩。独自の形状の坂路(「6の字」)。温暖な気候。コントレイル、キズナなどG1馬を多数輩出。
チャンピオンヒルズ滋賀県広大な敷地、長い直線坂路(フェルトダート/ウッドチップ)。高い回収率を示す外厩として注目される。育成過程を映像で確認可能。

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※上記は主要な施設の一部であり、外厩は他にも多数存在します。また、各施設の設備や特徴は変更される場合があります。

これらの施設は、それぞれ異なる特徴を持つため、馬がどの外厩で調整されてきたかを知ることは、馬の状態や適性、さらにはレースでのパフォーマンスを予測する上で非常に重要な情報となります。

【馬券に繋がるコツ】外厩情報を予想に活かす

外厩情報は、現代競馬において馬券予想の必須要素と言えます。

  • 「外厩帰り初戦」に注目: 特定の有力外厩でしっかりと乗り込まれた馬は、トレセンに戻ってきてからの調整期間が短くても、十分にレースを走れる仕上がりになっていることが多いです。そのため、「外厩帰り初戦」の馬は、能力を出し切りやすい状態にあると判断でき、狙い目となるケースが少なくありません。特に、過去にその外厩で調整されて好走実績がある馬は要注意です。
  • 外厩ごとの「得意分野」を見抜く: 外厩によっては、特定のコース(坂路の勾配など)の特性から、短距離向きの馬の育成が得意、長距離馬のスタミナ強化が得意、あるいはダート向きの馬を仕上げるのが得意、といった傾向が見られることがあります。過去のデータから、特定の外厩を利用した馬がどのような条件で好走しているのかを分析するのも有効な手段です。
  • 陣営の「意図」を推測: 外厩を利用したという事実そのものが、陣営の「このレースは勝負したい」という意図の表れである場合も多いです。特に休養明けでも外厩でしっかりと負荷をかけられてトレセンに戻ってきた馬は、状態が良いと判断できる根拠となります。

外厩情報は、インターネット上の競馬情報サイトなどで公開されている場合が多いです(無料・有料問わず情報源は複数存在します)。トレセンでの追い切り情報と合わせて、外厩での調整過程もしっかりと確認すること。これが、現代競馬で勝ち抜くための重要な戦略の一つなのです。

在厩?外厩?馬券に直結する調整場所の違い

競走馬がレースに向けて調整を行う場所は、主にトレセン(在厩)か外厩のどちらかです。馬が今、どちらの場所にいるのか、そしてそこからトレセンに戻ってきてどのように最終調整を行うのか。この「調整場所」に関する情報は、その馬の直前の状態、陣営の考え、そしてレースへの勝負度合いを読み解く上で、非常に重要なサインとなります。

トレセンに「在厩」している状態と、外厩にいる状態。それぞれに異なる役割と特徴があり、その使い分けには明確な意図があります。馬券に繋がる情報を見抜くためにも、この違いを理解しておきましょう。

レース直前の勝負服:トレセン(在厩)調整

競走馬がトレセンの厩舎にいる状態を「在厩」と言います。レースに出走するためには、原則としてレースの10日前までにトレセンに入厩している必要があります。つまり、多くの馬がレース直前の最も重要な最終調整を、このトレセンで行います。

在厩調整の主なメリットと特徴は以下の通りです。

  • 調教師によるきめ細やかな管理: 調教師や厩舎スタッフが常時、馬の状態を把握し、体調や飼い葉食いなどをチェックしながら、その日の調教メニューを決められます。
  • レース本番への最終仕上げ: レースが行われる競馬場と同じ管轄のトレセンで、レースの条件(距離や馬場)を想定したより実践的な最終追い切りを行うことができます。
  • 専門家との連携: 獣医師や装蹄師などが常駐しており、馬の体調不良や脚元のアクシデントに迅速に対応できる体制が整っています。
  • レースモードへの切り替え: トレセンの活気ある雰囲気の中で、馬も自然とレースに向けて気持ちが乗ってきやすい環境にあると言えます。

レース直前の最終的な状態のチェックや微調整は、やはりトレセンで行われるのが基本です。追い切りの動きやタイムを詳細に見ることで、まさに「レースの勝負服に着替える」直前の馬の状態を把握することができます。

リフレッシュと育成の拠点:外厩調整

一方、トレセンの外にある育成牧場やトレーニング施設で調整されている状態を「外厩」と言います。かつての「放牧」のイメージとは異なり、現代の外厩は多機能な施設です。

外厩調整の主なメリットと特徴は以下の通りです。

  • 心身のリフレッシュ: トレセンの緊迫した環境から離れ、広いパドックでのんびりさせたり、トレセンよりもゆったりとした雰囲気の中で過ごさせたりすることで、レース後の疲労回復や精神的なリフレッシュを効果的に行うことができます。
  • 馬に合わせた多様な調教: 外厩によっては、トレセンにはないユニークなコースや設備を持つ場所もあります。馬の年齢や個性、抱える課題に合わせて、トレセンとは異なるアプローチでの基礎体力強化や集中的なトレーニングを行うことが可能です。
  • 早期デビューと効率的な馬房運用: トレセン入厩前に外厩である程度馬を仕上げておくことで、早期のレース出走が可能になります。また、調教師の管理馬房数に制限がある中で、外厩を「一時預かり」の場所として活用することで、厩舎全体の馬房を効率的に回すことができます。

【馬券に繋がるコツ】「外厩帰り」を見逃すな!

現代競馬において、特定の有力な外厩でしっかりと調整されてトレセンに戻ってきた馬、いわゆる「外厩帰り」の馬は、特に注目の存在と言えます。

  • 仕上がりの良さ: 高機能な外厩では、トレセンと遜色ない、あるいはそれを超える質の高いトレーニングが可能です。外厩で十分に乗り込まれてからトレセンに入厩する馬は、短期間でレースに出走できるほど仕上がっていることが多く、能力を出し切りやすい状態にあります。
  • 勝負度合いの高さ: 主要な外厩、特にノーザンファーム天栄やしがらきといった施設を利用できるのは、その厩舎の中でも期待されている、あるいは結果を出したい「勝負馬」であることが多いです。特定の有力外厩からの帰厩は、陣営がこのレースを重要視しているサインと受け取れます。
  • 過去データとの照合: 特定の外厩から帰厩した際に好走する傾向にある馬や、特定の外厩が得意とする条件(距離や馬場、クラスなど)を過去のレース結果から分析することも有効です。

ただし、外厩での調整はトレセンに比べて情報が少ない場合がある点には注意が必要です。また、すべての外厩が同じレベルの施設や技術を持っているわけではありません。

どちらが良い? 使い分けの意図を読み解く

在厩調整と外厩調整、どちらが優れているという単純な話ではありません。それぞれの馬の個性、前走からの期間、目標とする次走、そして陣営の考え方によって、最適な調整場所は異なります。

レース間隔が詰まっている場合はトレセンで短期調整、大きなレース目標に向けて間隔が空く場合は外厩でじっくりリフレッシュ&強化、といった使い分けが一般的です。

重要なのは、「なぜ今、その馬がそこにいるのか」という陣営の意図を読み解こうとすること。そして、その場所で「どのような調整が行われてきたのか」を、次に解説する「追い切りの動き」や「タイム」といった情報と合わせて総合的に判断することです。

在厩か外厩か、そしてそこでの調整内容。この情報を深く理解することこそが、現代競馬の馬券予想において、他のファンに差をつけるための重要なポイントとなるでしょう。

追い切り動画で見極める!馬の状態を見抜く実践ポイント

これまでの章で、追い切りの基本、タイムの見方、そしてトレセンと外厩といった調整場所の重要性について解説してきました。これらの知識を最大限に活かすために、次に重要となるのが、実際に**「追い切り動画」を見て、馬の動きを直接確認すること**です。

タイムという数字だけでは決して分からない、馬の体全体から発せられるコンディションのサイン。それを読み解く力がつけば、あなたの競馬予想は新たなレベルへと進むでしょう。

画面越しに馬の状態を感じ取る!動きのチェックポイント

追い切り動画を見る際は、タイムが表示されていても、まずはタイムを意識せず、馬そのものの走りに注目することをおすすめします。以下の点を意識して見てみましょう。

  • フォーム(走り方): 馬がスムーズに、力強く走れているかを確認します。四肢の運びは連動しているか、バラバラではないか。特に、首の使い方は重要です。しっかりと前へ伸ばし、リズムに合わせて使えている馬は、全身を使って効率よく走れています。逆に、首が高かったり、硬く突っ張っていたり、左右にブレたりしている場合は、どこかに力みや問題がある可能性があります。また、背中やトモ(後肢)に張りがあり、推進力が感じられるかも大切なポイントです。
  • 推進力: 後ろ脚の蹴り出しが力強いか、地面をしっかりと掴んで走れているかを見ます。地面をグッと押すような力強い踏み込みができている馬は、坂路でも平坦でも力強い推進力を生み出しています。
  • 集中力と気合い: 馬の目つき、耳の向き、そして走りながらの息遣いから、走ることへの「気合い」や「集中力」を感じ取ります。前向きで、レースに向けて気持ちが高まっているか。他馬を気にしたり、ソラを使ったり(周囲に気を取られて走るのをやめたり)していないか。ただし、気合いが乗りすぎると力みにつながることもあるため、適度な集中力が理想です。
  • 折り合い(コントロール): 騎手の手綱の合図に素直に従い、スムーズに走れているか。特に併せ馬の際に、相手に合わせる余裕があるか。力んで頭を上げたり、行きたがって掛かったりしていないかを確認します。折り合いを欠く馬は、レース本番で体力を消耗したり、能力を出し切れなかったりする可能性が高まります。

これらの「動き」のチェックは、JRA公式サイトや競馬専門チャンネル、一部の情報サイトなどで公開されている追い切り動画で確認できます。繰り返し多くの馬の追い切り動画を見ることで、「良い状態の馬の動き」というものが感覚的に掴めるようになってきます。

タイムと動きの「違和感」こそが宝庫!

前章でタイムの見方を解説しましたが、タイムと「動き」はセットで判断することが極めて重要です。そして、その組み合わせから生まれる「違和感」こそが、状態判断の大きなヒントになります。

  • タイムは速いが動きに硬さやバラつきがある: 無理やりタイムを出している可能性。見た目の時計ほど状態が良いとは言えないケースがあります。
  • タイムは平凡だが動きが非常にスムーズで楽に見える: 楽な手応えで、馬なりに近い状態で時計が出ている可能性。馬に余裕があり、良い状態にあると判断できます。
  • 【馬券に繋がるコツ】好調時のパターンとの「違和感」: 最も注目すべきは、その馬が過去に好走したレースの前の追い切り動画やタイムと比較することです。好調だった時と比べて、フォームに乱れはないか、手応えはどうか、終いの反応はどうか。そして、タイムと動きのバランスがどう変化しているかを見ます。もし、好調時と比べて明らかに異なるパターン(例えば、いつもは終いが甘いのに鋭く伸びた、あるいは楽に走れているのに時計が速いなど)が見られた場合、それは状態が上向いているサインかもしれません。
  • 意図的なパターン変更の可能性: ただし、前走好走したにも関わらず、追い切りのパターン(コース、タイムの出し方など)を意図的に変えてきた場合もあります。これは陣営が何か新しい試みをしている、あるいは見えない不安要素を抱えている可能性も示唆します。このような「違和感」から、陣営の意図を推測することも、追い切り分析の楽しみであり、馬券に繋がる洞察に繋がります。ウッドチップコースが不良馬場になったため坂路に変更した、といった馬場状態による変更はやむを得ないケースとして考慮が必要です。

過去のデータと馬体重も忘れずに

追い切り動画での動きのチェック、そしてタイムとのバランス判断に加えて、過去のデータと馬体重の変化も総合的に考慮に入れる必要があります。

  • 過去データとの比較: 前述の通り、好走時の追い切り内容との比較は非常に重要です。また、休み明けや連戦後の追い切りで、馬がどう変化する傾向にあるかを知っておくことも役立ちます。特定のコースや追い切りパターンで毎回好走する、といった馬独自のルーティンがある場合もあります。
  • 追い切り後の馬体重: 追い切りは馬にとって負荷のかかる運動です。追い切り後に馬体重が大きく変動する場合があります。
    • 大幅な馬体重増: 長期休養明けなどで、まだ体が絞りきれていない可能性があります。
    • 大幅な馬体重減: 追い切りで消耗しすぎた、あるいは前走からの回復が十分ではない可能性が考えられます。割引材料となることが多いです。
    • ただし、輸送が苦手な馬は、輸送で大きく馬体重を減らすことがあります。トレセンでの最終追い切りからレース当日までの輸送を計算して、あえて追い切り後に馬体重が多めになるように調整しているケースもあります。追い切り後の馬体重はあくまで参考情報として捉え、最終的なレース当日の馬体重、そしてパドックでの馬体と照らし合わせることが重要です。

タイム、動き、過去のデータ、馬体重、そしてトレセンか外厩かといった調整場所。これらの複数の情報を多角的な視点から総合的に判断すること。これこそが、追い切り情報から馬の本当の状態を見抜き、競馬予想の精度を飛躍的に高めるための実践的なアプローチなのです。

追い切り評価で失敗しないための注意点

追い切りは、競走馬の状態を知る上で非常に有力な情報源です。タイムや動き、調整場所といった様々な要素を分析することで、馬のデキを推測し、馬券的中に近づくことができます。しかし、追い切り情報には「落とし穴」も存在します。誤った見方をしてしまうと、かえって予想を狂わせる原因にもなりかねません。

追い切り評価で失敗しないために、必ず押さえておくべき注意点を確認しておきましょう。

タイム評価に潜む落とし穴

前章でタイムの見方について解説しましたが、タイムにまつわる注意点は特に重要です。

  • 馬場状態を絶対に考慮すること: これは何よりも重要です。良馬場、稍重、重、不良と、馬場状態によってタイムの出方は劇的に変化します。良馬場で平凡なタイムでも、不良馬場でそれより速いタイムが出れば評価は一変します。逆に、良馬場で好タイムでも、その日の馬場が特別速かっただけかもしれません。タイムを見る際は、必ずその日の馬場状態を確認し、他の日のタイムと比較する際は馬場差を考慮する癖をつけましょう。特にポリトラックは、他の馬場に比べて水分による影響を受けにくいため、不良馬場でも時計が出やすいという特性があります。ポリトラックのタイムをウッドチップやダートのタイムと単純に比較するのは危険です。
  • コース特性を過小評価しない: 坂路、ウッドチップ、ダートなど、コースの種類によってタイムの基準も馬への負荷も異なります。栗東の急坂路で出したタイムと、美浦の比較的緩やかな坂路(新設前)で出したタイムでは、同じ時計でも意味合いが違いました。たとえ今は差が縮まっていても、それぞれのコースでどのような調教が可能で、タイムがどの程度出やすいのかという特性を理解しておくことが、正確なタイム評価には不可欠です。
  • 追い切りの「意図」を無視しない: タイムが遅いからといって、即座に状態が悪いと判断するのは早計です。陣営が馬なりで反応だけを見たかった、レースで掛からないようにゆったり走らせたかった、といった意図がある場合もあります。逆に、無理やり一杯に追ってタイムを出しているだけで、馬には相当な負担がかかっている可能性もあります。「時計が出ている=良い追い切り」ではないのです。馬なり、強め、一杯といった追い切りの強度表示と合わせて、その馬や陣営がどういう意図でその追い切りを行ったのかを推測する視点を持ちましょう。
  • 過度な「タイム至上主義」に陥らない: 特に坂路で好タイムが出ると、それだけで「状態抜群!」と飛びついてしまいがちです。しかし、タイムはあくまで評価要素の一つです。速い時計を出すこと自体が目的になっている調教かもしれませんし、馬の体に無理がかかっているサインかもしれません。タイムだけでなく、前章で解説した「馬の動き」や「手応え」といった定性的な情報、そして「過去のデータ」と合わせて総合的に判断することこそが、誤った評価を避けるための鉄則です。

情報収集と冷静な判断に関する注意点

追い切り情報を集める際や、それを評価する際にも注意が必要です。

  • 情報源の信頼性を確認する: インターネット上には様々な追い切り情報が溢れています。しかし、中には不正確な情報や、個人の主観が強く反映された情報も混じっています。競馬専門誌、信頼できる競馬情報サイト、そしてJRA公式の情報(馬三郎やスポニチなどのトレセン時計班の情報は、記者が実際に目で見て手応えなどを判断しているため参考になります)など、信頼できる情報源を選びましょう。複数の情報源を参照することで、より客観的な情報を得られます。
  • 天候や季節の影響を考慮に入れる: 夏場の暑さで馬の体温が上がりやすかったり、冬場の寒さで体が硬くなったりと、天候や季節も馬の状態やタイムに影響を与えます。特に冬場の凍結防止剤散布は馬場を深くし、タイムが出にくくなる要因となります。こうした外部環境も考慮に入れて評価を行いましょう。
  • 「変化」の解釈は慎重に: 過去の追い切りや好走時と比べて、タイムや動きに変化が見られる場合は注目すべきですが、その変化が良い方向へのものなのか、あるいは不安要素を示しているのかの判断は難しいものです。特に、急激な変化は良いサインの場合もあれば、無理がたたっているサインの場合もあります。安易な飛びつきは禁物です。
  • 感情や先入観を排除する: 応援している馬だから、有名な馬だから、といった感情や、特定の厩舎や騎手に対する先入観で、追い切り評価がブレてしまうことがあります。馬そのものの状態、タイム、動き、そして客観的なデータに基づいて、冷静に評価を行うことが重要です。

これらの注意点を常に頭の片隅に置きながら追い切り情報と向き合うこと。それが、追い切りを競馬予想の強力な武器として使いこなすための、非常に重要なステップとなるはずです。

まとめ|追い切り、トレセン、外厩情報を馬券に活かす秘訣

ここまで、競馬予想において非常に重要な「追い切り」を深く理解するために、その種類やタイムの見方、そして追い切りが行われる場所である「トレセン(美浦・栗東)」と「外厩」について、それぞれの特徴や役割、馬券に繋がる視点を解説してきました。

現代競馬において、競走馬の状態を正確に把握するには、これら追い切り、トレセン、外厩という三つの要素を切り離して考えることはできません。これらの情報が複雑に絡み合い、馬のコンディション、陣営の勝負度合い、そしてレースでのパフォーマンスを決定づけているからです。

総合判断こそが馬券に繋がる唯一の秘訣

追い切り評価で最も陥りやすい罠は、一つの情報に固執してしまうことです。速いタイムが出たから即買い、有名外厩帰りだから絶対、といった単一要素での判断は、時に痛い失敗に繋がります。

本当に馬券に繋がる追い切り・トレセン・外厩情報の活用法。それは、これらの情報を**「総合的に判断」**することに他なりません。

  • いつ?(レース週の追い切りか、それ以前の負荷をかけたものか)
  • どこで?(美浦か栗東か、トレセンのどのコースか、それとも特定の外厩か)
  • どんな内容で?(単走か併せ馬か、馬なりか一杯か、タイムはどうか、そして「動き」はどうか)
  • どんな意図で?(仕上げ、反応確認、リフレッシュ、特定の課題克服…)

これらの問いに対する答えを、馬のこれまでのレース結果や追い切り履歴、さらにはトレセンや外厩の持つ特性と照らし合わせながら、多角的に分析するのです。

馬券的中の精度を上げる!具体的な着眼点

これまでの解説を踏まえ、追い切り・トレセン・外厩情報を馬券に活かすための具体的な秘訣、つまり着眼点をいくつかご紹介しましょう。

  1. 有力外厩帰りの「質」を見極める: 単に外厩帰りというだけでなく、それがノーザンファーム天栄やしがらき、大山ヒルズ、チャンピオンヒルズといった実績のある高機能外厩であるか、そしてそこで十分な乗り込み(特に坂路などで負荷をかける調教)が行われたか。トレセンに戻ってきてからの最終追い切りで、楽な手応えで時計が出ていたり、動きに活気が見られたりすれば、勝負度合いが高いと判断できます。
  2. その馬にとっての「好調パターン」を知る: 全ての馬に共通する「最高の追い切り」はありません。過去にその馬が好走したレースの前の追い切り内容(タイム、コース、動き、手応え)を把握し、今回の追い切りがそれに近い、あるいはそれ以上の内容であるかを見極めることが重要です。タイムだけでなく、フォームや気合い、折り合いといった「動き」の変化に注目し、前走からの上積みがあるかを判断します。
  3. 「違和感」を深掘りする: タイムと動きのバランスがおかしい、いつもと違うコースや内容で追い切ってきた、好走後なのにパターンを変えた…といった「違和感」は、陣営の意図や馬の状態に変化があったサインかもしれません。この違和感の背景を推測し、仮説を立てて検証する作業が、穴馬を見抜くヒントになることもあります。
  4. トレセンのコース特性とタイムを紐づける: 美浦と栗東の坂路勾配の違い、ウッドチップと坂路での負荷の違いなどを理解した上で、追い切りタイムを評価します。特に栗東の急坂路で終いがしっかりと伸びている馬や、美浦新坂路でパワフルな動きを見せた馬などは注目に値するでしょう。
  5. 輸送を考慮した総合判断: 特に遠征馬の場合、トレセンでの最終追い切り後に長距離輸送があります。追い切り時の馬体重や気配だけでなく、レース当日のパドックで輸送による消耗が見られないか、馬体重が大きく減っていないかといった点も合わせて確認することで、より正確な状態判断が可能です。
  6. 追い切り+αで判断: 追い切り情報は非常に重要ですが、それが全てではありません。レース当日のパドックでの馬体や気配、返し馬でのキャンターの質なども、馬の状態を判断する上で重要な情報です。追い切りで良い動きを見せていても、当日の気配がイマイチ、というケースもあれば、追い切りは目立たなくても本番では素晴らしい気配を見せる馬もいます。追い切りで立てた仮説を、当日の情報で検証するというプロセスが精度を高めます。

継続は力なり!学び続ける姿勢を

追い切り、トレセン、外厩に関する情報は、奥深く、一朝一夕に完全に理解できるものではありません。様々な馬の追い切り動画を見て、「この動きでこのタイムだと、レースではこういう結果になりやすい」「この外厩帰りの馬は、特定の条件で好走する傾向がある」といった自分なりの引き出しを増やしていくことが重要です。

そして何より、実際に予想を立て、馬券を買い、レース結果と追い切り内容を「答え合わせ」する作業を繰り返すこと。この経験の積み重ねこそが、追い切り情報を馬券に活かす力を磨く最も確実な方法です。

追い切り、トレセン、外厩という現代競馬の核心とも言える情報を正しく理解し、多角的な視点から総合的に判断する力を身につけること。これは、あなたの競馬予想において、他の追随を許さない強力なアドバンテージとなるでしょう。ぜひ、これらの情報を日々の予想に取り入れ、競馬をもっと深く、そして馬券的中の喜びをさらに感じてください。

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この記事を書いた人
リッキー

追い切り評価を行うブロガー。予想スタイルは[馬連]と[ワイド]の2点勝負。競馬はディープインパクトのときから見ていますが、難しいものですね。

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