第66回 有馬記念
3歳以上 OP コース:2,500メートル(芝・右)
有馬記念の最終追い切りが更新されていましたので、タイムや映像を比較して、好調馬を発表しています。追い切り考察を読まれたい方は、参考にしていただければ幸いです。願わくば当たれば嬉しいです。
有馬記念の追い切り考察を見た上で感じたのは、有力視されている馬に不安要素が出てきたこと。陣営コメントも弱気なところもありますが、それは映像を観た印象としても同じようなところ感想を抱きました。
もしかすると荒れることもあるのかもしれないと感じるものでした。
各馬の考察後にお薦め馬を発表しています。時間がない方は、まとめ部分だけでもご覧ください。
有馬記念の各馬の追い切り考察
評価は【S/A/A-B/B/B-C/C/D】の7段階評価です。
評価について、詳しくはこちらをご覧ください。
アカイイト【B-C】
52.2-37.3-24.6-12.6
単走強め。
舌を出した状態で走っていますので集中力はないように見受けられます。それでもしっかりと走れていました。脚下の動きは雰囲気も悪くはないです。
1週前は坂路で強めに追われて52.0-13.0をマーク。ただ、1週前も舌を出していて、2週続けて集中力に疑問残る走りをしていました。
舌を出したから悪いということはありません。人によっては全く気にしない人もいますし、リラックスできている証拠と前向きに捉える人もいます。しかし、僕の考えはマイナス要素だと思っています。大きな減点ではないものの、0.5点マイナスという評価をしています。それを2週続けて見せられたので、精神的な部分ではデキが落ちているのでは。
逆にここでも十分に好走を見せることができれば、舌を出して走ったとしてもデキ落ちと評価しなくて良い馬だということ。次走からそのように考えればいいだけです。
アサマノイタズラ【A-B】
6F80.9-65.1-51.0-37.5-1F11.8
3頭併せ内馬なり半馬身遅れ。
遅れるのはいつものこと。セントライト記念の覇者ですが、その時の追い切りも遅れていました。遅れたからデキ落ちとかデキが怪しいということはないでしょう。
1週前はやや掛かりそうな手応えでコーナー部分を回っています。前向きさが出ているのは悪いことではないと思います。2頭併せで1馬身半先着。時計も5F67.5-3F37.4-1F11.2と好時計をマークしていました。
前走はデキ落ち評価としていましたが、諸々勘定すると今回の方がデキは良さそうです。ただ、セントライト記念の時に戻ったという印象で、善戦以上の活躍となると物足りない印象も。
アリストテレス【B-C】
54.7-39.0-24.9-12.3
2頭併せ末強め半馬身先着。
動きは悪くはないものの、全体的に動きが小さく迫力不足の印象を抱きました。活気がないわけではありませんが、やや物足りず。
1週前はCWで2頭併せ。6F82.7-3F37.0-1F11.5をマークして、僚馬にクビ差遅れる形で終わっていました。
前走時はCWを中心に作られていましたが、今回は坂路で最終リハとなりました。坂路でしっかりと追ったことからも、もしかするとデキが戻ってきていない可能性があるように思います。1週前に遅れたのが予想外だったのか、雰囲気が悪かったのか、最後の一追いで負荷を掛けた点を考慮しても、1つ上がり切れていない印象です。
デキは前走からやや落ちる印象を受けましたので、素直にデキ落ち評価といたします。
ウインキートス【A-B】
54.2-39.6-25.7-12.7
2頭併せ馬なり2馬身先着。
馬なりではありましたが、僚馬を置いていく走りを披露してくれました。ただ、時計判断から考えると、僚馬が不甲斐ない動きをしていたと考える方が良さそうです。
悪くはないと思うものの、どこか物足りなさを感じる内容だっただけに、その点が少々気になりました。動きにメリハリがありません。
1週前は南Wで2頭併せを行い、最後は僚馬を突き放す内容を消化。時計も6F86.0-37.8-1F11.3と、末の部分は上々の時計をマークしていました。
アタマの位置が高い走りをしていたのは気になりますが、前向きなところを見せて走れています。状態的には前走よりも今回の方が上の印象です。デキは悪くはない。
エフフォーリア【B-C】
5F69.0-52.8-38.0-1F11.4
3頭併せ中末強め1頭半馬身先着、1頭2馬身先着。
時計的にはあまり差のないところだとは思いますが、走りの雰囲気を考慮すると、前走のデキの方が良かった印象です。
それでも下降線と言っても、前走のデキから急降下というわけでなく、前走の方が良かった程度。今回が悪いという評価はしていません。
前走から6ハロン追いを行い、それでしっかりと結果を残しました。変に勘ぐるよりも、僚馬を基準にしっかりと走れている方がいいのでは。
今回は最後の最後まで手前を替えませんでした。手前を替える替えない問題が付きまといますが、いつも気分で手前を替えたり替えなかったりだと思いますので、特に気にせずに考察していいのではないでしょうか。
エブリワンブラック【B】
4F51.7-36.8-1F11.6
単走末強め。
特に悪い印象は抱きませんでした。近走の成績から勘定すると、ド迫力な内容が必要となりますが、元気さは伝わる内容まででした。
芝への適正もないことはないと思いますが、このメンバーでは見劣りしてしまう成績。走りも単純に足りないと思いますので、さすがに善戦すら厳しいのでは。
デキは前走程度までとします。
キセキ【B】
5F70.0-53.8-37.6-1F11.6
単走末強め。
良い時と比べると、雰囲気は1つ2つ落ちている印象を抱きました。硬さが出てきて可動域が狭いのか、縦に跳ねるような走りに変化しています。
1週前はCWで単走で消化。6F82.2-38.3-1F11.7の時計をマーク。最後は促されていましたが、雰囲気がピリッとせず。
7歳の暮れですから、ここから急激に良化することは考えにくいのですが、今のこの馬の地力は引き出せるものと思いますが、追い切りの雰囲気からは良い時の7割8割のところと言った印象です。
クロノジェネシス【B-C】※
7F97.2-81.1-66.1-51.8-37.0-1F11.9
※国内前走宝塚記念と比較して
2頭併せ内末強め併入。
やや掛かりそうになりながら前を走る僚馬に追走。2馬身から3馬身後方を追走して直線へ。直線入ったところでも1馬身後方を追走していました。
ただ、ゴーサインが出てからもなかなか僚馬に追いつけません。やや待ってもらう形でラスト100M程を並走して走りますが、手応え的には僚馬の方が上という印象でした。
宝塚記念の時も着差はないところでの追い切りでしたが、直線入って掛かりそうな手応えで走れていました。今回は促されてもなかなか進んでいきません。見た目的には地味な範囲でした。
追い切り時計は前走程度の範囲(手動計測と自動計測の違いあり)だとは思いますが、デキはやや落ちているのではないでしょうか。
1週前の追い切り消化後の調教師のコメントも、「馬場が重くタフな競馬だったので、疲れた部分があるかなと思います。一番いい頃と比べると動きが物足りません」とあるように、今回の内容を見ても物足りなさが目立つものでした。最終リハ後のコメントも物足りないという言葉を残しているだけに、もしかするとなんらかの部分が上手くいっていないのかもしれません。
デキ自体は悪くはなく、デキは前走の方が上になるのではないかと見ています。
シャドウディーヴァ【B】
6F84.8-68.6-53.4-38.5-1F11.6
単走強め。
頭の位置が高い走りをしていて不安の方が大きかったのですが、追われたラスト1ハロンは11.6秒。しっかりと状態を低くして走れていました。デキが悪いということはないでしょう。
前走は坂路を選択して本番へ向かいましたが、今回は南Wを選択。今回は中間も坂路を使っていません。
パターンを極端に替えてきたので、その点では不安材料はありますが、走り自体は前走と変わりない範囲に見受けられます。
前走のデキキープ程度で見ておきたい。
ステラヴェローチェ【A-B】
6F84.4-67.4-52.0-37.0-1F11.2
2頭併せ外馬なり併入。
全体84.4秒とやや見劣りするものの、最後は馬なりで11.2秒と豪快な時計をマークしました。走りの雰囲気が悪いということもなく、淡々と走りながらも、しっかりと時計を刻めていました。
今回は最終リハをCWで行いました。前走の坂路から変えた形です。
1週前はCWで6F83.2-3F36.1-1F11.2という時計をマーク。2頭併せで末強めに追われて最後は併入という形でした。
デキ落ちと評価した前走でしたが、今回は極端に遅れる内容はありませんでした。併入止まりだったのは正直評価を難しくさせますが、概ね、上昇気配として良さそうです。悪くはない動きを見せてくれました。
上昇気配だから良いというわけではなく、デキは神戸新聞杯や日本ダービー3着などと一緒程度だと判断しています。
タイトルホルダー【B】
6F82.5-65.7-50.8-37.0-1F11.6
3頭併せ内馬なり1馬身遅れ。
僚馬を3馬身から4馬身程追いかける形で最終コーナーへ。直線入口で追いつくも、最後はじりじりと引き離されてしまう内容となってしまいました。
ただ、菊花賞では同じような内容で評価しなかったのですが、しっかりと勝利を納めました。この内容でも本番ではしっかりと走れるところは既に前走の菊花賞で見せたので、これだからデキが悪いと評価するのは早計か。
1週前は南Wを3頭併せで駆け抜け、5F66.5-3F38.0-1F12.2の時計をマーク。中を走る馬と併入、外を走る馬とはクビ差ほど先着という形でした。
前走時は最終リハは坂路を選択。今回は最終リハも南Wを選択している点は前走と違う部分。その点が気になるものの、デキは前走程度と見ていいのでは。
正直、この馬は走り時がよくわからない馬なので、僕が悪いと評価した場合は買い、良いと評価した場合は買わないという天邪鬼みたいなタイプなのかもしれません。相性が悪いというべきかww
難しいですが、僕はデキは前走と変わらずと評価します。
ディープボンド【B】※
6F82.9-68.0-52.6-37.7-1F11.7
※国内前走天春と比較して
単走馬なり。
調教駆けするタイプらしくしっかりと時計を刻めていました。前向きなところも見せていましたし、悪くはないでしょう。
1週前はCWで2頭併せ。6F81.0-36.9-1F11.2で最後は1馬身先着という内容でした。しっかりと時計を刻めている点はプラス評価して良さそう。
阪神大賞典は最終までしっかりと追い切っていましたが、春の天皇賞では1週前をしっかりとやって、当週追いを軽めの内容でした。そこが不安材料でしたが、しっかりと2着を好走を見せました。今回と同じパターンでの内容だっただけに、このパターンがマイナスになるということはなさそうです。
遠征の疲労がもしかすると残っている可能性はあるものの、追い切りを見た限りでは悪いという部分はありません。この馬の地力は引き出せる。
パンサラッサ【B】
51.0-37.1-24.2-12.2
単走馬なり。
馬なりで51.0秒を叩き出していることから、デキが悪いとかは考えなくて良さそうです。雰囲気良く、前向きなところを見せて駆け抜けています。
ただ、坂路で時計は出せるタイプなので、この時計を素直に評価すると痛い目をみそう。
前走時は加速ラップを刻んで本番へ。今回は減速ラップとやや心もとない。
1週前のCW単走の走りは順調そうには見えた。6F80.8-36.3-1F11.5で、走りも綺麗だった。
当週追いの減速ラップはいくらか気になるものの、1週前と当週追いの雰囲気の良さを考えるとデキ落ちまでは考えなくて良さそう。このメンバーでどこまでやれるのかは楽しみ。
ペルシアンナイト【B】
6F84.4-68.2-52.3-37.2-1F11.3
単走強め。
最後の部分はしっかりと時計を刻めていたものの、この馬の場合はいつもしっかりと走れているので、そこまで評価はできないか。
特に変わり映えはしないと評価した方が良さそう。
チャレンジCの最終リハでも記載していますが、7歳暮れだけに大きな良化は望めないか。この馬のデキは一貫してキープできている。前走の走りに期待が持てるが、メンバー強化でどこまで。自分の走りが通用すれば。
メロディーレーン【B-C】
55.2-40.0-26.4-13.6
単走末強め。
坂路の向かって左側、コースの内側を走っているのはマイナス点。坂路のコース内側を走る場合、負荷をあまり掛けたくない場合に行う。順調にきていないのではないかと不安になる。
2走前の宝塚記念の映像と比較しても、元気がないところが気になります。その辺りで負荷を抑えたかったのかもしれません。
前走時の映像こそないので時計判断となりますが、今回の中間は加速ラップを一度も刻めていないのが気になる。もう少し十分に走れる方が良さそう。
モズベッロ【B】
51.5-38.0-25.6-13.3
単走強め。
残り1ハロンのところで急に横を向いてしまうなど、集中力に難がありそう。最後もバテたような走りと精彩を欠いていた。
1週前は坂路を単走で駆け上がるも、51.2-13.2と時計は伸びず。
ただ、評価が難しいのが、全体51.2秒は自己ベストをマークしている点。馬場差を考慮してもこの馬にしては猛時計です。最後は13秒台とバテた形でも、意欲的に乗り込まれていると判断していいでしょう。
前回の坂路自己ベストが19年11月19日で、11月23日高雄特別(3歳以上2勝C)の最終リハでした。その時は完勝していますので、時計判断だけではその時と同じようなところで走れていると言っても強ち間違いではないでしょう。
雰囲気はマイナス評価も、時計の根拠は十分でプラス評価。準備自体はしっかりと余念はない。ただ、上積みまではなさそうに感じる。馬場が渋ればチャンスは十分にありそう。
ユーキャンスマイル【C】
6F80.1-64.7-49.9-36.8-1F11.3
3頭併せ内馬なり1頭半馬身遅れ、1頭アタマ差遅れ。
淡々と走りすぎて、どこか元気がないのが気になる。僚馬の方を気にしていて、自分の走りに集中していない感じに見受けられます。
1週前は坂路で54.5-12.6を消化。動き自体が特別悪いということはありませんが、良い頃と比較すると走りが物足りないか。
夏以降札幌記念+秋古馬G1参戦と、意欲的なローテーションも、掲示板にすら載れていません。そこにプラスして有馬記念と秋3戦目。状態的にはキープしているとは言い難く、追い切りの雰囲気を見てもデキ落ちの雰囲気漂う。さすがに見えない疲れではなく、疲労が見えているのでは。
有馬記念の追い切りまとめと推奨馬
今回の追い切りで上昇気配を示したのは、【A-B】評価のアサマノイタズラ・ウインキートス・ステラヴェローチェの3頭でした。
ただ、3頭ともに有馬記念で好走できるかどうかで言えば微妙なところで、前々走と同じようなレベルで仕上がっていると考える方が良さそうなものでした。
【B】評価の中で注目したいのは、タイトルホルダー・ディープボンド・パンサラッサの3頭。
この辺りが今回の追い切りで前向きに評価するべき馬達であると考えます。
【B-C】評価となったエフフォーリアとクロノジェネシスの2頭ですが、エフフォーリアは買いだと思います。前走からデキは落ちたものの、前走の追い切り偏差値が高かったので、少々成績が落ちても買うべきだからです。
クロノジェネシスは、追い切り考察が終わった段階では買えるものの、アタマでは難しいのではないかという評価を下しています。
いずれも、前走の方が雰囲気が良かった点を考えると、紛れも十分にあるでしょう。
ただ、こういう名馬と呼ばれる域に達しているクロノジェネシスほどの馬になると、『デキが上がった重賞馬<デキが落ちたクロノジェネシス』ということが往々にしてあるので、その点の匙加減が大事になります。
その点を考えると、やはりクロノジェネシスやエフフォーリアを完全に切って勝負するには材料が乏しく、やはり買うべき馬だという判断としています。全盛期に比べると8割のデキだとしても、その8割で勝ってしまうのが名馬の域の馬。そこを忘れるわけにはいきません。
今回は上記のメンバーを中心に追い切りを見ていくことをお薦めします。
それでは、追い切り推奨馬です。
※ランキング強化へご協力をお願いいたします。
デキは前走程度であるものの、追い切りの雰囲気は決して悪くはなかった。あとは相手関係との力関係。同型の存在が気になるものの、行けなかった場合にどういう走りになるのかは2走前に証明済み。ここは出していきたいが…。
上昇気配を示した1頭だっただけに油断は禁物。巻き返しは十分にある。
デキは3番手評価まで。ただし、ここまでの成績を考慮すれば、それでも走れてしまうのではないかと感じる部分はあります。
上昇気配を示した馬。内容的にはもう1つ上がありそうなところはあるものの、今回のメンバーならば4頭目に推奨できる。
まとめ
今回は上記のランキング掲載馬・ステラヴェローチェ・エフフォーリア・アサマノイタズラの4頭を推奨する形に。3歳馬旋風が巻き起こるはず。
ただし、クロノジェネシスはデキ落ち評価も、走れないことはないと判断。アタマまでは厳しいものの2着3着では押さえておきたい。ただ、僕の考えでアタマがないならば買わないという選択をするので、馬券も買わないと思います。
予想記事は土曜日の夜に出しますので、参考までにご覧になっていただけると嬉しいです。