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競馬オッズ理論の「断層」とは?見方と攻略法をベテランが徹底解説

競馬オッズ理論の「断層」とは?見方と攻略法をベテランが徹底解説 初心者向け
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馬券を買う際に、必ず目にしているオッズ。単勝オッズや複勝オッズは1桁から3桁、3連単ともなると4桁以上の数字も目にします。オッズを気にして馬券を買ったらいけないという言葉もありますが、ただ、ある以上はどうしても気にしてしまいます。

世の中には、そのオッズに着目して馬券選択をする人たちがいます。オッズ攻略や「オッズの断層」を読む人たちです。今回はその理論を、私なりにかみ砕いてみましたので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも「オッズ理論」とは?

競馬ファンなら誰もが見ているオッズですが、多くの場合「この馬が勝つと何倍になるか」という配当倍率としてしか見ていないかもしれません。

しかし、オッズ理論におけるオッズの正体は、単なる配当倍率ではありません。それは、「日本中の競馬ファンが投じたお金の縮図」であり、「市場の期待値(集合知)」そのものです。

オッズが低い馬は、それだけ多くの人が「この馬が勝つ(馬券に絡む)」と信じてお金を投じている証拠。オッズ理論とは、この「期待値」の偏りや歪(ゆが)み、特定のパターンを読み解くことで、馬券のヒントを得ようとする予想手法の一つです。

最大の注目点「オッズの断層」とは何か

オッズ理論にはさまざまな手法がありますが、近年とくに注目を集めているのが**「オッズの断層」**です。これは、オッズが示す「市場の評価」が、ある馬を境にガラッと変わるポイントを指します。

「断層」の定義:市場評価の境界線

オッズの断層とは、馬を人気順に並べたときに、隣り合う馬の単勝オッズが急激に開いている場所を指します。

たとえば、3番人気が5.0倍なのに、4番人気が15.0倍だった場合。ここに大きな「断層」があると言えます。これは、市場(競馬ファン)が「3番人気までは馬券に絡む可能性があるけれど、4番人気からはかなり厳しいだろう」と評価している、明確な境界線を示しているのです。

なぜ「割り算」で計算するのか?(重要)

この断層の大きさを測る際、引き算(例:15.0倍 – 5.0倍 = 10倍の差)を使いがちです。しかし、オッズ理論では「割り算」を使うことが強く推奨されています。

  • 計算式:下位人気のオッズ ÷ 上位人気のオッズ

なぜなら、引き算では人気薄の馬ほど数字が不当に大きくなり、公平な比較ができないからです。たとえば、1.5倍と3.0倍の差(引き算で1.5)と、30.0倍と31.5倍の差(これも引き算で1.5)では、前者の方がはるかに大きな評価の差があります。

割り算を使えば、前者は3.0÷1.5=2.0倍、後者は31.5÷30.0=1.05倍となり、評価のギャップを正確に比較できます。

断層の目安は「2.0倍」以上

では、割り算で計算した数値がいくつ以上なら「断層」と呼べるのでしょうか。

これは多くのオッズ研究家によって統計が取られており、一般的に「2.0倍」以上が注目すべき目安とされています。数字が大きければ大きいほど、その断層は「強い」と判断できます。

ある統計によれば、2.0倍以上の断層を持つ馬は勝率が10.9%(約10回に1回勝つ)に達し、もし断層が2.3倍以上あれば、複勝率(3着以内に入る確率)が30%を超えてくるというデータもあります。これは、市場の評価が実際の好走率に直結している強力な証拠です。

オッズの断層で攻略!具体的なパターン別戦略

断層の定義がわかったところで、次は「どう馬券に活かすか」です。やみくもに断層を探すのではなく、注目すべき範囲と、断層の位置によるパターンを覚えるのが攻略の近道です。

注目すべきは「1番人気〜6番人気」

まず、断層をチェックする範囲は「1番人気から6番人気まで」に絞り込むことが推奨されます。なぜなら、競馬は基本的にこの6番人気以内で決着することが多く(統計上、馬券圏内の7割以上)、7番人気以下は元々の好走率が低いため、断層があっても効果が薄いからです。

すべての馬をチェックしていてはキリがありません。効率的に予想するためにも、まずは上位人気馬の間に断層がないかを探しましょう。

パターン1:1-2番人気間に「強い断層」がある場合

(例:1番人気 1.8倍、2番人気 4.5倍 → 断層 4.5 ÷ 1.8 = 2.5倍)

これは、市場が「1番人気が抜けている」と判断している典型的なパターンです。とくに断層が2.5倍以上あり、かつ6番人気までに他に大きな断層がない場合、1番人気の信頼度は抜群です。

あるデータでは、このパターンの1番人気の勝率は52.9%、複勝率(3着以内)は実に80.7%に達するとされています。馬券戦略としては、この1番人気を軸馬、あるいは1着固定で狙うのがセオリーです。ただし、オッズが低いため(トリガミを避けるため)に、買い目は絞る必要があります。

パターン2:2-3番人気間に「断層」がある場合

(例:1番人気 2.8倍、2番人気 3.5倍、3番人気 8.0倍 → 2-3間に断層8.0÷3.5=2.28倍)

このパターンは非常に重要です。1番人気と2番人気のオッズ差が小さい(1.5倍以内など)にもかかわらず、2番人気と3番人気の間に断層がある場合、「上位2頭が抜けている」ように見えます。

しかし、これは同時に「1番人気が絶対的な存在ではない」ことも示しています。統計上、このパターンの1番人気は勝率が通常(約34%)から大きく下がり、26.2%まで低下するというデータがあります。つまり、1番人気が負けやすいパターンなのです。

馬券戦略としては、1番人気より配当妙味(おいしさ)がある2番人気の逆転勝利を狙う価値が十分にあります。1番人気が3着などに負ければ3連単の配当は跳ね上がるため、高配当を狙う絶好の手がかりとなります。

パターン3:中穴(3-6番人気)に「断層」がある場合

(例:4番人気 8.0倍、5番人気 18.0倍 → 4-5間に断層 18.0 ÷ 8.0 = 2.25倍)

この場合、市場は「4番人気まで」と「5番人気以下」に明確な評価の差をつけています。戦略としては、断層の「直上の馬」(この例では4番人気)が勝ち負けに浮上する可能性が高いと判断し、馬券の軸やヒモに加えます。

逆に、断層の「直下の馬」(この例では5番人気以下)は、評価が低いと判断し、思い切って「切り(買い目から消す)」の対象とすることで、無駄な買い目を減らすことができます。

オッズを見るメリットとデメリット

私自身、20年この仕事に携わっていますが、オッズとの付き合い方は非常に難しいと感じています。オッズ理論には、もちろんメリットとデメリットがあります。

メリット:短時間で「買うべき馬/切るべき馬」がわかる

最大のメリットは、予想の効率化です。全レースの出走馬すべてを平等に分析するのは時間がいくらあっても足りません。

オッズの断層を使えば、「このレースは1番人気が堅そうだ(パターン1)」「このレースは荒れそうだ(パターン2)」「このレースは4番人気までで決まりそうだ(パターン3)」といったレースの全体像を短時間で把握できます。

これにより、無駄な馬券を買うリスクを減らし、高配当のチャンスがあるレースを特定する手助けになります。

デメリット:「オッズに踊らされる」危険性

一方で、最大のデメリットは「オッズに踊らされる」ことです。オッズはあくまで「市場の期待値」であり、「馬の絶対的な能力」そのものではありません

(体験談)私にも苦い経験があります。断層があるからと人気馬を軸にしたものの、当日の馬場状態がまったく合わずに凡走。逆に、断層の下にいた馬が、馬場が向いたことで激走し、高配当になったことも。オッズだけを信じて「馬」を見ていなかった典型的な失敗です。

「断層があるから買う」「断層の下だから消す」という思考停止に陥ると、かえって回収率を下げる原因にもなります。

【独自コラム】オッズの「質」を見抜く新たな視点

ここで一つ、従来のオッズ理論から一歩進んだ視点をご紹介します。それは、同じオッズでも「そのオッズがどう作られたか」という「質」の違いを考えることです。

「大口(プロ)支持」か「多数(一般)支持」か

たとえば、単勝3.0倍の馬が2頭いたとします。

  • A馬:一人のプロが100万円を投じて作られた3.0倍
  • B馬:100人の一般ファンが1万円ずつ投じて作られた3.0倍

この2つのオッズは、配当こそ同じですが、情報の「質」がまったく違います。A馬のオッズは「確度の高い情報や緻密な計算に基づくプロの結論」である可能性が高く、信頼性が高いと言えます。一方、B馬のオッズは「メディア情報や漠然としたイメージに基づく一般の支持」であり、過剰人気になっているかもしれません。

断層と投票構造を組み合わせる

この「オッズの質」を「断層」と組み合わせることで、分析はさらに深まります。

  • 信頼できる断層:断層の上位が「大口支持」で固められている場合。これはプロの意思が反映された、信頼できる境界線です。
  • 崩れる断層:断層の上位が「多数支持」(過剰人気)で作られている場合。これは根拠の弱い見せかけの断層かもしれず、断層の下にいる「大口支持の穴馬」に逆転される可能性があります。

オッズの変動を時系列で追う必要がありますが、「この断層は本物か?」と疑う視点を持つことは、オッズ攻略において非常に重要です。

オッズ断層Q&A

Q1. 断層を計算するのが面倒です。簡単な方法は?

A1. スマートフォンの表計算ソフト(Googleスプレッドシートなど)を使えば一瞬です。

慣れれば1分もかかりません。手順は以下の通りです。

  1. ネット競馬などで単勝オッズ(人気順)をコピーします。
  2. スプレッドシートに貼り付けます。
  3. 隣のセルに「= (下のオッズ) / (上のオッズ)」と割り算の計算式を1つ入力します。
  4. そのセルを下に引っ張って自動入力(オートフィル)させます。
  5. (推奨)計算結果を「折れ線グラフ」にすると、数値が突出している(断層がある)場所が一目でわかります。

競馬場やウインズでも、発走10分前にサッと確認できる非常に実用的な方法です。

Q2. この理論、今後はどうなりそうですか?

A2. さらなる効率化と、他の理論との統合が進むと考えられます。

現状はスプレッドシートなどを使いますが、今後はオッズを入力するだけで断層の位置を自動で強調表示してくれるような専用アプリやWebサービスが登場するでしょう。また、Q1で触れた「オッズの時系列分析(変動の追跡)」や、他の理論(展開予想や調教データ)とAIで組み合わせ、より精度の高い予想システムに発展していく可能性を秘めています。

まとめ:断層は「予想の入り口」として最強の武器になる

オッズの断層理論は、単なるオカルトではなく、「市場の集合知」という客観的なデータに基づいた統計学です。

ただし、忘れてはならないのは、断層はあくまで「予想の入り口」であるということです。断層がすべてを決めるわけではありません。断層でレースの傾向を掴み、買うべき馬・切るべき馬を大まかに絞り込んだ上で、最終的な判断は、馬の適性、レース展開、当日の馬場状態といった他のファクターと組み合わせて行う必要があります。

とくに競馬初心者の方や、予想に時間がかけられない方にとって、オッズの断層は「どの馬から検討すべきか」を教えてくれる、最強の武器(コンパス)になってくれるはずです。

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