10月31日の天皇賞秋の追い切り考察を行いました。各馬の考察後に、全頭まとめを行っていますので、もしよろしければ最後までご覧いただければ幸いです。
有力馬の見解などは、出走予定馬のページにまとめましたので、もしよろしければご覧ください。
天秋の各馬追い切り考察
評価は【S/A/A-B/B/B-C/C/D】の7段階評価です。
評価について、詳しくはこちらをご覧ください。
エフフォーリア【B】
6F86.3-69.3-53.6-38.5-1F11.3
3頭併せ中末強め1頭1馬身先着、1頭アタマ差先着。
僚馬の後ろを追走し、直線で僚馬の間を走る実績的な追い切りを消化。動き軽快で、悪くは感じません。
1週前は前向きさを出した走りで、しっかりと最後まで足を伸ばしていました。ゴール後に追われるなど、しっかりと負荷を掛けられた運動でした。
ただ、この夏の成長があったかどうかという部分は、ないのではないかと見ています。
もう1つ心配材料として、この馬の場合、5ハロン追いが通常パターン。
この秋になって6ハロン追いを行っています。ここまで絞り切れていないのか、それだけのハードワークに耐えられるようになったのかは難しい考察を必要とします。
正直、走ってみないと分からないという感じでしょう。馬券を買う側の我々も、成長分だと信じて買うか、絞り切れなかったと買わない、もしくはヒモまでという買い方をするか悩ましい存在です。当日の馬体重も増えているものと思います。
デキは春の頃と変わらない程度だとは思います。成長を期待して待っていた人にはどうなのかなと思いますが、変わらずの高い状態での出走になる見込みです。
これで十分と見るか、古馬との対戦では足りないと感じとるのは人それぞれで難しいですが、休み明け初戦から状態面での心配はいらないでしょう。
3歳世代は、現4歳5歳牡馬と比較するとレベルが高いと思いますので、僕個人的には足りているのではないかと思っています。
カイザーミノル【B】
53.6-38.5-24.9-1F12.4
単走強め。
頭の高い走りをしているので、スピード感はあまりなく。中2週を考慮すれば許容できるものの、時計の根拠もやや足りない印象。
春の調子が良かった時期と比較すると、動きが重いというか動きが硬い。もう少し柔軟性がある走りをしていたものが、今回はそれを感じず。
デキは前走程度としておきますが、この馬の場合は、そもそも2000Mの距離を攻略できるかの方が大きいと思います。距離延長があまり前向きな印象がなく、本番でどこまでやれるのか。
横山典騎手の助言で距離を伸ばす方向で走っていますが、さすがにこのメンバーで初距離2000Mは厳しいのでは。
カデナ【A】
52.9-37.6-24.7-12.7
単走強め。
前走の毎日王冠でデキ落ち評価から10着に沈みました。その点では、デキを戻してきたと考えていいでしょう。
ただ、良い時は馬体を沈めて走っていただけに、やや重心が高くなってきているのが気になるポイント。
追われてからの走りはさすがの動きではあるものの、7歳後半になり、さすがにここから良化を考えると厳しいのでは。
カレンブーケドール【A-B】
52.0-38.1-25.4-12.7
2頭併せ馬なり併入。
前走と比較すると、今回の方がさらに良くなっている印象です。
前走宝塚記念の時は、単走追いで動かしてはいたもののどこか重っ苦しい印象でした。コーナー部分で外へとやや膨らんだのも気になる走りでした。
その点、今回は2頭併せに戻しての内容。動きも今回の方が軽快で、夏場の休養で状態が上がっていると考えていいはず。
より距離が長くなるジャパンCが最大の目標だとは思いますが、2000Mのここでも上位争いは十分に可能では。
グランアレグリア【B】
6F80.0-65.0-51.2-37.3-1F11.7
2頭併せ内馬なり併入。
ゴール後も手綱を緩められずに走っているので、上記の時計以上の距離を走っています。
正直、評価に迷う存在。
中間の気配も十分で、当週追いもしっかりと動けていました。逆に動き過ぎた印象を受けるほど。状態面は心配いらないでしょう。
安田記念では前に2頭がいても、闘争心は出さずに軽く馬なり。それが今回は向かっていくところを見せての走りで、この馬らしくない印象です。気負いがあるというか、変な力が入っている印象。
1週前は、コーナー部分でやや怪しく、掛かりそうな面もありながら。藤沢厩舎にしては珍しく促してもいましたし、坂路でも時計を刻んでいます。
それだけこのレースに掛ける想いが強いと考えることもできますが、2000G1を獲って3階級制覇を目論むにしては、短距離馬みたいな気持ちの入り方をした走りをしているのが気になる部分でした。
デキはいいけれど、距離が心配。状態面では心配する必要はなし。
コントレイル【B】
51.7-37.3-24.2-12.1
単走馬なり。
リズムよく駆け上がっています。ややタッチが軽い印象は受けましたが、最後も12.1秒ならば問題ないのでは。
ただ、映像を観る限り、最後の最後でやや余力を無くしているようにも見えるだけに、その点がやや引っ掛かる内容でした。全体51.7秒なので、その点は仕方がないかもしれません。
1週前は3頭併せをCWで6F79.4-3F36.9-1F12.2をマーク。僚馬の1頭にはマイネルホウオウがいました。1週前の段階でデキは良さそうに思います。柔軟性のある走りで、後脚の付け根、トモの辺りの柔軟性に富んでいるのが伝わる動きでした。
別に逆張りをする必要はないかと思うんですが、この馬はあまり追い切り映像で良かったと思うことが少なかったです。どういうことかと言いますと、「リズムが悪いな」「もう少し弾けないかな」とか、個人的には注文が付く馬という印象でした。
それが最終リハでは、最後の最後にやや怪しいところはあったものの、しっかりと動けていました。
逆に、この馬っぽさがないという違和感。全てがパーフェクトだとこのような動きになると考えることもできますが、ガツガツとしたところがないのも気になる。
大阪杯と比較して、デキは変わらずのところ。休み明け初戦だからと手を抜いているとかは感じませんが、あまりにこの馬にしては坂路でも走ったので逆に不安。やりすぎ心配。
サンレイポケット【A-B】
55.2-40.0-25.3-12.2
2頭併せ強め3馬身先着。
僚馬の真後ろにつけて、残り1ハロンのところで進路を変えての先着。より実践的な追い切りを行いました。
集中力高く、鞍上の指示に的確に動けていました。
1週前は軽めの調整で、末のところだけ動かされて1F11.8秒と上出来。前走の疲労などは感じませんでした。
今回も追われたのはラスト1ハロンだけでしたが、前走から中2週での出走だけに気にしなくていいでしょう。
前走使われた上積みを感じる内容だけに、上昇気配としておきます。
G1を舞台にどこまで末脚を伸ばせるかが鍵となりそうですが、追い切りを見ている限りでは楽しみではあります。侮れない1頭だと見ています。
トーセンスーリヤ【B】
5F66.8-51.4-37.3-1F11.3
単走強め。
コース3分どころを走っているので、時計は参考程度まで。
馬場が悪い時間帯での追い切りでした。走りづらいようにも見えましたが、しっかりと動けていた。
やや我慢ができずに掛かりそうになっていましたが、その分、最後は追われると瞬時に加速していく走りをしていました。
直近の2走は重賞で連対。その時のデキはキープして出走できる見込み。動きも変わらずで、前向きさが強くなっている気はしますが、2000Mでの実績しかありませんので問題ないでしょう。
ヒシイグアス【B】
5F68.7-53.0-38.4-1F12.2
2頭併せ外馬なり半馬身先着。
併せ調教の外を回っていますが、コース自体は6分7分を回っていますので、時計は参考程度。
まずは1週前から。単走で南W6F84.4-3F38.6-1F12.2で駆け抜けました。馬なりでの内容だけに時計の根拠は乏しいですが、それでも活気がある走りをしていました。
当週追いは2頭併せ。僚馬に競り掛けられると自ら進んでいこうとする動きで、前向きさは評価。最後はやや無理やりにでも手綱を引っ張っていこうとするような形でした。
前走時は走る馬が相手していました。どちらも馬なりのままでもグイグイ引っ張る形での併入という内容でした。そこは今回も変わらずのところ。
陣営コメントではギリギリ間に合った、息遣いは2週前より良化しているなど、嘆きが入っています。
ただ、リズムが悪いとか、そういったものは見当たらず。息遣いが悪いと、どうしても小刻みに首を上げ下げしてしまう、ぱたっとスピードが落ちるなどありますが、そういったものは今回の追い切りでは見つけられませんでした。
あとは当日のパドックなどの歩様の力強さを見た方がいいでしょう。どうも追い切り後に元気がなくなるようで、その繰り返しでここまで復帰が遅くなったらしいです。その点は追い切りからは分かりませんので。
ペルシアンナイト【B】
6F83.6-66.8-51.9-38.2-1F12.1
単走末強め。
外に2頭併せの馬がいましたので、コースは7分ほどを通過。
良い時のペルシアンナイトの映像と比較すると、首が立っていてスピード感がない走りをしています。
ただ、前走時の札幌記念の時と比較すると、同じような走り方をしており、口の周りが白くなっているのも同じ。
デキが上昇したとは言い難いものの、前走と変わらずの範囲で出走できるのではないかと見ています。
評価の決め手に欠けるというか、走りを見ると強く推せないのですが、前走の走りは可能なデキだと判断します。
ポタジェ【B】
6F85.4-67.6-53.1-39.5-1F12.2
単走馬なり。
ポリトラックでの追い切りにしては、外々を回ったことを考慮に入れてもやや時計の根拠に欠ける印象。
それでも、身軽さを感じる走りはしており、時計が遅いから状態が悪いとは言い切れない印象は受けます。
1週前はCWで6F85.7-3F39.2-1F12.0と、最後に軽く動かした程度の運動で、1週前と最終リハと軽めの調整。中2週での出走ですので、これでも状態は整ったと見ていいのかもしれません。
ただし、直前をポリトラックを選択したのであれば、もう少しやってくれてもと思うだけに、前走の反動を心配している可能性も否めないと感じました。
走り自体は特に悪い箇所もなく、余計な力みなども感じません。デキは前走と同じようなところで出走できる見込みです。
ムイトオブリガード【B】
53.0-38.0-24.5-12.2
単走一杯。
しっかりと追われているものの、首の上げ下げの可動域が狭いため、スピード感はあまり感じず。
途中で右へ寄れたりと、どこか頼りない動きも相まって、ここでの好走は難しいのでは。
モズベッロ【A-B】
6F80.8-66.0-52.1-38.7-1F12.3
2頭併せ強め3馬身先着。
Twitterで時計を見ると気になると書いていましたが、実際に映像を観ると動きも良いです。上体を低くしてしっかりと伸びています。
やや跳ねるような走りをしていて、尚且つ前脚の掻き込みが強い。恐らく、跳ねるような走り(と僕の目に映る)は、この馬の調子のバロメーターにもなっているのでは。
前走は坂路を選択していましたが、今回はCWを選択。全く走れなかった前走の追い切りですが、今回は身軽さが出ています。
前走の追い切りが悪すぎたというのもありますが、坂路からCWに切り替えた点を含めて今回の方がデキがいいでしょう。
たしかに前脚の掻き込みが強いので、その点では重馬場以上の力がいる馬場で結果を残せそうですが、良馬場でもやれそうな走り。台風の目となるか。
ユーキャンスマイル【A-B】
5F62.8-48.3-35.6-1F12.0
単走馬なり。
重馬場での芝ですので、馬なりならばこの時計でもと感じる部分はあります。ただ、全くの馬なりというわけではなく、促された部分もありましたので、もう少し時計を刻めてもと思うところも。
1週前はCWで3頭併せ。ワールドプレミアには差を付けたものの、もう1頭の僚馬にはアタマ差ほど遅れる内容でした。僚馬は馬なりでの内容に対し、ユーキャンスマイルは強めに追われていますので、届かなかったのは地味に映ります。
悪くはない成績が続いているものの、一時のピークは過ぎたのかもしれません。昔はもう少しスマートな走りから、ガッとエンジンが掛かるところがありましたが、そこに迫力が欠けているような状況。もう少ししっかりと走れる時が好調時だと思います。
デキは前走から上向き評価とはしますが、通用するところまでは感じない。
ラストドラフト【B】
5F65.7-50.7-36.7-1F11.8
2頭併せ外末強め1馬身先着。
僚馬の外を走る併せでしたが、コース選択自体は6分くらいのところを走っていました。
活気があるのは前向きな評価。小気味良いリズムで脚を動かしています。
ただ、直線向いたところで手前を替えましたが、ややそこでリズムが崩れてしまったのはマイナス評価。
もう1つ。この馬は手前を替えてからしばらくスピードが上がらないのですが、なぜかしばらくしてから急加速を始めます。エンジンの掛かるのが遅いタイプなので、瞬発力はあるものの、使うまでに時間が掛かるというのは、毎日王冠のときにも感じましたが、今回の追い切りでもそう感じます。
前走は大敗してしまいましたが、デキは良かったと思います。【A】評価としていました。
負け犬のなんちゃらではありませんが、前走の時点で上向いていたはず。今回は【B】評価としますが、前走から引き続きデキは良いと考えています。
ワールドプレミア【C】
53.7-39.7-25.7-12.8
2頭併せ強め半馬身先着。
しっかりと負荷を掛けられたのは良かったと感じる一方で、思ったよりも時計が伸びませんでした。
騎乗した岩田騎手も、どこか手応えを感じていないような追い方をしています。
最後の追い切りで坂路を選択したのも、仕上がり途上を理解して負荷を掛けたからではないかと考えることもできます。
動きもどこか眠たそうというか、反応はしているが体が追いついていかないというような形。
1週前はユーキャンスマイルともう1頭の3頭併せで、最後は余力を無くして3馬身遅れ。ゴール後に鞭が入っていましたが、さすがに遅れすぎ。
ここを使われてからさらによくなるのでは。今回は素直にデキ落ち評価。
悩みが増えただけの全体まとめ
出走馬の追い切りをチェックしていきました。
今回の追い切りで上昇気配を示したのは、【A】評価のカデナ、【A-B】評価のカレンブーケドール・サンレイポケット・モズベッロ・ユーキャンスマイルの合計5頭でした。
【B】評価の中では、3強のコントレイル・エフフォーリア・グランアレグリアは当然ですが、ヒシイグアスとラストドラフトの合計5頭の状態も良さそうでした。
【A】評価ではありましたが、カデナは前走落ちた状態が戻ってきた程度ですので、悩むならばそれ以外の馬ということになります。
それにしても動きが良かった馬が多い。ハイレベルな一戦になりそうだということ。
この中から順位付けをしても、あまり意味がないようにも感じますし、お薦めしたいのは上記の名前を出した9頭。カデナを含めると10頭になります。
ただ、それだとあまりに多いし、追い切りブログなので、なんとか順位付けをして上位馬を推奨したいと思います。
ガツガツしていたのが気になったものの、厩舎からメイチ感漂う追い切り。状態面は問題なく、あとは距離の問題だけ。東京2000Mの今回が3階級制覇へ一番近いはず。
成長力疑問も、春の頃と変わらない走り。3歳ハイレベル世代なだけに、侮れない。
順位付けをすると、3番目の印象。なにかが悪かったわけではなく、上位2頭の方が良かったということ。
前走は敗因がしっかりとしている。追い切り自体は前走も良かった。勝ち負けは難しいかもしれないが、2着3着争いならば。
今回はすみません、5頭目まで推奨させてください。絞り切れなかったのと、2着3着に入れそうな馬を選ぶと、モズベッロも面白いと感じます。
今回は、お薦めしたい馬が多数揃いました。その点、レース本番は興奮間違いなしのレースになると思います。カレンブーケドールもユーキャンスマイルも動きが良かったので…。レース本番が楽しみです。