第73回阪神ジュベナイルフィリーズ
2歳 OP コース:1,600メートル(芝・右 外)
阪神ジュベナイルフィリーズの最終追い切り評価を行いました。各馬の考察の後に全体まとめを行っています。
今年の阪神JFの追い切り考察を追えての所感は、荒れることも想定してから馬券を考えたいということです。有力馬と目されているメンバーの内容が今一つなところもあり、穴馬や伏兵馬の活躍がありそうに見えました。
2歳戦特有の、前走圧倒的なパフォーマンスで勝ちきるも、次戦に繋がらないということがこのレースでも起こりそう。その辺りは意識して良さそうかなと感じました。
時間がない方はまとめだけをご覧いただいても分かる内容にしています。各馬の考察が気になりましたら、その馬だけでもご覧ください。
阪神JFの各馬の追い切り考察
評価は【S/A/A-B/B/B-C/C/D】の7段階評価です。
評価について、詳しくはこちらをご覧ください。
アネゴハダ【B】
54.8-39.5-25.5-12.5
単走強め。
脚捌きはスムーズではあるものの、若干、後脚のトモ辺りが寂しく映る。もう少し張った方が良さそうに感じる。
1週前の追い切りでは、同じく坂路を52.5-12.5で駆け抜けた。
1週前と最終リハ、ともに物足りない印象を受けた中で、もう少し全体的に雰囲気よく駆け上がって欲しかった。
ウォーターナビレラ【B-C】
5F69.7-53.5-38.4-1F12.2
単走馬なり。
G1大舞台前に、芝での追い切りは個人的には嫌いたい項目。恐らく、芝での追い切り=凡走というイメージが付いている方も多いかと思います。ファンタジーSの最終リハはCWコースで行いましたので、調整パターンが違うのも、特に大舞台前に変更したのは気になります。
1週前はCWで2頭併せ。6F85.8-3F39.9-1F11.9をマーク。僚馬に1馬身以上の差を付けての内容ではあったものの、首の位置が高く、やや軽い走りが目立ったものでした。
人気の一角になるのかもしれませんが、内容的には強くは推せず。ファンタジーSの時の方がデキが良さそうなのが気になります。
芝とCWとの違いがあるので走りが違うというのは当然なのですが、今回はデキ落ちでは。コーナーを回って直線向いた時の雰囲気は、前走時の方がおっと思う部分がありましたが、今回はあまりに淡々と回ってきているだけに見えたのが気になります。
キミワクイーン【B】
6F83.0-66.3-52.1-38.2-1F11.7
3頭併せ中強め1頭半馬身先着、1頭3馬身先着。
残り1ハロンのところから2頭併せの形になり、外を走った僚馬はだらしない動きをしていました。その点では3頭併せというよりも2頭併せでの内容でしたので、狙った効果が得られたのかは不明です。
手応え良く伸びていきました。残り1ハロンで2頭併せの形になってから、伸びが甘いかなと感じましたが、そこからもう一伸び。先着を見せてくれました。
1600Mの新潟2歳Sで6着という結果でした。その後休養に入り10月の1400Mの1勝クラスを勝ちきっての参戦。前走の映像は配信されていませんが、時計判断では、今回の方が良さそうです。追い切り云々よりも、距離の壁の方が大きい印象で、ロードカナロア産駒×ダイワメジャー産駒ということもあってか、より短距離馬っぽい印象です。
デキは相変わらずに良さそうです。
サークルオブライフ【B】
5F68.5-53.3-38.4-1F12.1
3頭併せ中馬なり1頭併入、1頭3/4馬身先着。
脚色は外を走る僚馬の方が良かったです。残り1ハロンのところからクビ差ほど前に出ていましたが、最後は併入になった形です。
1週前は南W5F67.7-3F37.3-1F11.6の3頭併せ。強めに追われた中で、外に走る僚馬に先着を許してしまいました。
最終リハでは併入に持ち込んだものの、内容的にはあまりパッとした印象を受けず。
雰囲気は良くなかったですが、デキ自体は変わりなく来ているのではないでしょうか。可もなく不可もなく。
サク【B】
54.9-40.0-25.6-12.7
単走強め。
一生懸命に走っているものの、思うように進んで行かないという言葉が合いそうな内容でした。軸もブレていて、上手く力が脚下に伝わっていないような印象。エンジンの馬力は高そうですが、運動ロスが大きい印象です。
まだまだこれからがある馬だと思いますので、相手関係で伸びしろがあれば。
シークルーズ【B】
4F54.5-38.1-1F11.8
2頭併せ内馬なりクビ差遅れ。
最後は徐々に遅れる内容。ただ、着差を気にしていた内容ではないので、あまり気にしなくていいかもしれません。
新馬戦前の追い切り映像が配信されていましたが、3頭併せ4F53.9-3F39.9-1F12.1という内容。今回の方が時計の根拠は良いですが、同じく馬なりで馬自体が変わった様子はなし。
仕上がり的には前走程度までで、中間の時計を見ても、そこまで大きく変化したという印象は受けません。
スタティスティクス【B】
52.2-37.8-24.6-12.3
2頭併せ末強め2馬身先着。
リズムよく駆け上がれています。しっかりとした脚捌きで軽快さもあり、前向きさもありということで、どこかが悪いとは感じませんんでした。
新馬戦14着で、次戦の未勝利戦で5着。3戦目となった前走で勝ちきりました。戦績を見ると2歳G1では物足りない印象を受けてしまいますが、動き自体身軽で、伏兵としては楽しみな1頭のようにも感じます。きっかけ1つでもう1つ2つ成長できそうです。
僕的には凄く興味深い1頭で、来年の春のクラシックシーズンにどういう走りをしているのか気になる馬です。動きが悪いということはありません。
ステルナティーア【B-C】
5F67.1-52.2-37.6-1F11.5
2頭併せ内末強め併入。
追われてから反応今一つといったところも、この馬はあまり追い切りで良く見せるタイプではないと思っているので、この程度でもと思う部分はあります。
ただし、前走時は馬なり調整で同じような時計を刻んでいましたが、今回は末をしっかりと追われての内容でしたので、その点では時計的には地味にも映ります。もう少し余裕がある走りをしてくれると良かったのですが、もしかすると、中間あまりよく見せていないのかもしれません。
全体的には前走以上ということはまずないでしょう。あっても前走まで。個人的にはデキ落ちにも見える内容だけに、G1レース、厳しめに見積もってデキ落ちとしておきます。
ダークペイジ【B】
52.5-38.3-24.7-12.3
2頭併せ馬なり併入。
終始馬なりでの内容。最終リハでどうこう思うところはありませんでした。
1週前はCWで2頭併せ。強めに追われると、僚馬を2馬身から3馬身突き放しました。ただ、僚馬が追われると嫌がっていたので、その点では最後は単走追いみたいになったことの方が気になります。予定通りの内容ではないはず。時計的にも悪くはないところで走れていました。
ここまで2戦2勝と勢いに乗る1頭ではあるものの、馬体や動きを見てもどちらかというと1600Mはもしかしたら長いかも…と感じさせるところはあります。追い切り的にも距離延長に対応させたいという感じではないので、そこが少し気になりました。
ただ、動きが悪いということもありませんので、デキ自体は2連勝の勢いそのままにというところで。
タナザウィング【B】
6F83.8-68.7-53.3-38.0-1F11.6
2頭併せ馬なり1馬身先着。
僚馬の1馬身前を走って直線へ。馬体を並べられるも、強めに追われる僚馬をよそに、軽く促されての先着という内容でした。
新馬戦の時の映像がありませんのでこの馬の追い切りを観るのが初めてで、どういった評価をするべきか迷うものの、内容的には悪くはない印象を受けます。追えばまだまだやれそうな雰囲気もあります。
新馬戦を勝ちきれるだけの素質はある馬。その点は前向きな点もありますが、G1レースということを考えると、もう1つ2つ雰囲気が上がってきた方が評価しやすい。これが限界とは思わないので、成長を感じられたときに買いたい1頭という評価。
時計評価で、前走程度までと考えるべき。
ナミュール【B】
54.0-38.4-24.4-11.8
2頭併せ末強め3馬身先着。
活気十分で追われてからの反応も良かったです。特にラスト2ハロン24.4-11.8というのは、全体時計54.0秒を差し引いても悪くはないでしょう。
動き自体は悪くはないものの、雰囲気がもう1つ上がありそう。今回の追い切りがこの馬の1つの指標で、次走以降の比較対象としておきたいと思います。
中間の時計がよく分からないのですが、ちゃんとやったのが最終リハのみ?本数が足りない印象も…。
ただ、最終リハの内容は十分に良かったので、デキ落ちとまでは考えないところで。前走以上ということは求められないのでは。前向きに見ても良さそうなB評価としておきます。
ナムラクレア【A】
52.2-37.2-23.7-11.6
2頭併せ強め3馬身先着。
徐々に進行方向に対して右へと流れる内容だったことを考慮しても、今回の動きは破格では。雰囲気も上々で、気付いたら3馬身も突き放していたという内容は良かったです。
1週前も進行方向に対して右へと流れる内容。それでも前向きさを見せて僚馬を突き放す内容でした。
前走時は単走追いで本番に挑んでいましたが、時計も平凡というところでした。今回は大幅に時計も良化しており、勝負気配高いところで仕上がっているものと思います。
状態はデビューからここまででピーク。仕上がり良好です。
ただし、特に時計の刻み方が短距離馬。時計任せに駆け上がっている印象。ミッキーアイル産駒らしいというべきか、ディープの血が騒ぐのかは分かりませんが、開催が進んだ今の阪神の馬場に合うかどうかは、それはそれで微妙な印象です。短距離馬+瞬発力に全振りしているタイプという印象で、阪神1600Mという舞台が適当なレースなのかは疑問が残る。1200Mの方が適性高いか。
距離適性を、状態の良さでカバーできるかが鍵となりそう。
ナムラリコリス【B】
54.5-39.3-25.2-12.3
2頭併せ馬なり併入。
残り1ハロンのところで走るのを嫌がる素振りを見せていましたが、最後の方は集中力を見せての内容でした。ただ、淡々と走りすぎて、評価が難しいと感じます。
1週前はCWで2頭併せ。強めに追われると、一完歩ずつしっかりと伸びて僚馬を3馬身程突き放す走りを披露してくれました。
1週前の段階で仕上がっているので、当週追いは軽めの内容ということだと思います。
デキは上昇も下降もせずに、キープできている。悪くはない。久々は感じなかったものの、雰囲気的にはもう1つ2つ上がありそう。年明け以降に躍進があるか。
パーソナルハイ【B】
52.5-38.0-24.5-12.0
単走強め。
肩鞭が入っているようにも見受けられますが、合図的なものだと思いますので強めの運動負荷と考えています。
カメラの角度的に、しっかりと画面に映ったのが残り1ハロンのところから。その辺りで強めに追われだすと、加速は掛かっていました。
ただ、軸がブレており、上手く力が脚下に伝えきれていない印象です。もう少しスマートな走りができるようになるといいかもしれません。
デキは前走程度まででは。悪くなったとは感じません。
ヒノクニ【A-B】
5F67.1-52.1-37.8-1F12.1
3頭併せ一杯1頭併入、5馬身先着。
2頭の2馬身後方を追走。映像が始まった残り2ハロンのところでは、僚馬よりも1馬身前に出ていました。美浦コースは改修工事の影響で、4コーナーから直線向いてからのゴールまで1ハロンのところまではカメラに映っていませんので分かりません。ただし、この感じであれば、4コーナー部分で僚馬よりも内を回ってショートカットするような形で僚馬よりも前に出て直線入ってという形ではないかと想像します。
ちぐはぐな内容で、それならば着差を保って先着して欲しかったのですが、最後は中を走る僚馬に脚色で劣った走りとなりました。
前走は坂路を中心に作られていました。地方ダート戦でしたので負けた要因は色々とありますが、追い切り的には今回の方が本気度は高そう。ただ、仕上がり良好というだけで、他の比較して上かというとそれはまた微妙なところ。
ひまわり賞を勝ったように、使われてから良くなるタイプなのかもしれません。このローテーションが前向きではない。調教走って本番走らないタイプかもしれませんので、間隔を詰めて使ってきた時が勝負時か!?
ベルクレスタ【B】
55.0-40.0-25.5-12.4
単走末強め。
最後に強めにさっとやった程度で、反応を確かめた程度でした。できればもう1つタイムを縮められると良さそうでした。
1週前は極端にコースの内側を回っていました。坂路コースはそこまでコーナーが厳しいわけではありませんので、コースの内側を回ったとところでという部分はありますが、負荷を掛けたくない場合に特に最内を回ってきます。
僕個人的に坂路最内を回る馬は走らないというのが定番になっていて、1週前の内容は評価できず。
また、前走のアルテミスSでは、最終リハを芝を使っていました。今回は坂路を中心に使っていたことで、どこかに問題を抱えているのか順調ではないのか、少し疑問が残る内容でした。
中間自己ベストの動きを評価するべきか、1週前の映像と最終リハの映像を評価するべきかで、この馬の評価が一気に変わりそう。前走以上ということはないのかなと感じます。デキはあっても前走程度まで。もう少し雰囲気良く見せてくれるといいのですが、僕の目にはあまり良くは映らず。
ラブリイユアアイズ【B】
6F83.6-67.7-53.1-38.3-1F12.3
単走馬なり。
淡々と走っていますが、動き自体は軽快でした。バランスの良い走りが目立つ内容で、悪いところは特に感じませんでした。
前走時の最終リハは南Wで2頭併せ。今回は輸送競馬となるため、テンションを上げたくないところで単走馬なりだと思いますが、その時と比較しても悪いところは特になく。その点では、この馬の地力は引き出せるのでは。
あとは、距離の壁がありそうなタイプなだけに、距離適性次第なのかなと感じます。悪くはない。
木曜追い切り
トーホウラビアン【B-C】
キャンター
単走。
中1週での参戦のためか、ゆったりと走っていました。
負荷は与えたくないという意味を込めての内容だったと思います。調教後の馬体重も、既に前走を下回っていますので、どこまでダメージを回復できるかが鍵。
前走以上ということはないでしょう。内容的には、中1週にしても負荷が少ない。前走ダメージが大きいのでは。
阪神JFの追い切りまとめと推奨馬
今回の追い切りで上昇気配を見せたのは、【A】評価のナムラクレア、【A-B】評価のヒノクニの合計2頭でした。
【B】評価の中では、サークルオブライフ・スタティスティクス・ダークペイジ・ナミュール・ラブリイユアアイズの5頭は前向きに見て良さそうでした。
前書きにも書いていますが、追い切りを見た所感ですが、有力馬と目されるメンバーが意外と追い切り内容が物足りない印象で、今年は伏兵馬の活躍もありそうだなという印象です。
その辺りは評価が難しいところはありますし、実際、この時期の2歳馬は完成度だけで駆けてしまう馬もいますので難しいところがあります。
早熟寄りの成長曲線を描く馬が活躍していたのが、12月から2月に掛けて普通成長曲線を描く馬が追いついてくる時期。それだけに、前走と変わり身を見せた馬を狙うというのも、この時期の2歳戦を攻略する上でとても大事になものとなります。
長々と講釈垂れても…という感じなので、追い切り推奨馬を4頭に絞りましたのでご覧ください。
距離適性には疑問が残るものの、追い切りの仕上がりは他のメンバーを超えていると感じた。距離適性が阪神1600Mにない馬も、これまで好走をしてきた過去があるレースだけに、勝ちまでは難しくても、2着3着ならば可能性を考えたい。
完成度という意味では、これから伸びてくる馬と比較しても1つ抜けた存在か。もう1つ上がありそうな印象はありますが、他と比較するとここは好走できる完成度。
騎手が不安なのとこちらも距離の壁がありそうですが、馬の完成度という意味では負けていない。輸送競馬がはじめてになるので、その点が不安も、追い切り段階での仕上がりは良好なだけに期待。
スタティスティクスと迷ったものの、完成度という意味ではサークルオブライフの方が上に感じた。アルテミスS1着からデキキープならば、こちらを選ぶべきでしょう。
今回の追い切り考察は以上となります。土曜日の夜に予想記事を出しますので、そちらもご覧いただければ幸いです!